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【書評】田辺聖子「ジョゼと虎と魚たち」-大人の女のしたたかさを見事に描いた傑作短編集

 申しわけないが、田辺聖子という作家の本を普通に生きてる普通の男が手に取る機会ってそうそうないんじゃないか、そんな気がする。僕自身も読んだのは40代になってから。きっかけは当時「本の雑誌」に小説家の小川洋子さんが書いた一文だった。そこで彼女は「凄い。こんなに凄い小説がこの世にあるのを,今まで知らずにいたなんて、私はあまりに愚かだった」とこの小説を絶賛したのだ。こういうほめほめの評価に僕は弱い。しかも、小川洋子である。これはもう読むしかない。

 

 それでも、けっこう軽い気持ちで読み始めたのだが、いやいやいや、芥川賞作家だもんなぁ。これはもう女の人はノックアウトでしょう。8編の短編、どれもがおもしろいけど「ジョゼ~」を除いて、主人公は20代後半から30代、40代の大人の女性。そんな女たちと男たちの物語を田辺さんは、軽やかな大阪弁でテンポよく綴ってゆく。女性のタイプも愛のかたちも違う物語なのだが、共通項としてあるのは彼女たちのしたたかさ。それがなんとも気持ちいいのだ。これを読んだら、女たちは「そうや、そうや、ほんまにそうや」とうなずき、なんだか元気になり、男たちは「う~ん、えらいもん読んでしもた」と頭を抱えてしまう。それにしても、こんな小説家読まずにいたなんて…「私はあまりに愚かだった」と当時の僕も確かに思った。

 

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