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【書評】絲山秋子「海の仙人」-孤独をしっかり受け止め、愛だけに逃げ場を求めていない男女の物語

 

海の仙人 (新潮文庫) 海の仙人 (新潮文庫)
絲山 秋子

新潮社 2006-12
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 このブログではすでに「ばかもの」を紹介しているが絲山秋子は時代を代表する作家である。発表される一作一作がクオリティが高く、読み応えがある。読んだことがない人はぜひぜひ読んで欲しい。

 

 さて、「海の仙人」。文庫になって読んだのだが、160ページぐらいの薄いものだし、あまり期待もしないで読み始めたら…。いやいやいや、この人は本当に大変な人だわ。芥川賞でもノーベル賞でもなんでもあげてください(芥川賞はもうもらってる!)。こんな中編でこんな奥深い物語を紡ぎだせる作家はそうそういない。しかも、難解さはみじんもないのだからすごい。

 

 主人公の河野が宝くじに当たって隠遁生活を始めていたり、「ファンタジー」という出来損ないの神様が登場したりと、リアルな話ではないのだけれど、そこから立ち上がってくる主人公たちの孤独はあまりに深くせつない。主人公河野と彼を愛する2人の女性、中村かりんと片桐妙子。それぞれがその孤独をしっかりと受け止め、愛だけに逃げ場を求めていないのが、気持ちいい。せつなくて哀しいけれど、愛おしくなるような日々がそこにはある。そして、その先には…。

 

 ラストはなんだかほんとにかっちょいー。涙でるなぁ。何度も何度も読み返してみたくなる物語だ。

             

2010.7.20 ちょっとちょっとちょっと、これは暑過ぎるだろう。あまりに反則だろう。こういう時に限って仕事がある。ま、仕事をしてれば暑さもまぎれる、ってことがないこともない。それにしてもなぁ…。

 

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