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【書評】上橋菜穂子「獣の奏者1・2」-王獣と少女、言葉では思いをかわせない2つの魂の触れ合いの物語

 あの「獣の奏者」の外伝が出るらしい。昨年、1巻2巻に続いて3、4巻が出たのにも驚いたが、さらに外伝とは。もちろん出たらすぐ読みたいが、考えてみると前の4巻を紹介していない。ま、今年始めたブログなので読んで書評をアップしていない傑作も多い。というわけで、まずは1、2巻の紹介から。

 

 「獣の奏者」、なんとも心を揺さぶられるタイトルだ。この物語の主人公のエリンは、闘蛇(とうだ)という戦闘用の獣を飼っている闘蛇衆の村に住む少女だ。獣ノ医術師だった母の死と共に村を離れ、今では蜂飼いの男と暮らしている。そこでエリンが出会ったのが王獣という生き物。この王獣との出会いが、エリンのその後の運命を大きく変えていくのだ。闘蛇を自由に操ることができた彼女の母、その娘であるエリンにもその力があるのではないか、そしてその力で王獣さえも操れるのではないか。小さな村で静かに暮らしていた少女が、いつの間にか王国の陰謀の中に我が身を置いてしまう。その時、彼女は…。

 

 「守り人」シリーズで有名な上橋菜穂子が描きたかったのは、まさに王獣と少女との物語、言葉では思いをかわすことが叶わない2つの魂の触れ合いの物語だ。しかし、作者が意図する意図しないに関わらず、この小説には普遍性がある。王獣を核兵器に置き換えればまさに現代の物語だ。無理にそう読む必要はない。しかし、そう読むことができる大きさがこの物語の魅力でもあるのだ。

 

 2章まではややスローテンポだが3章で主人公以外の登場人物が出てきてから話が大きく動く。最後の数章は本当にすごい。未読の人は1、2、3、4!さらには9月初めに出る外伝と一気読みできるからうらやましい。3、4巻の書評は明日にでもアップの予定。

 

●外伝はこれっ!!!

 2010.8.21 「はやぶさの大冒険」を読み終えたので宮部みゆき「あんじゅう」を手に取る。これ挿絵や挿画が南伸坊なんだ。いいなぁ、伸坊好きだなぁ。

 

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