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【書評】上橋菜穂子「獣の奏者3・4」-人間の愚かさを描きながらも、これはやはり希望の物語

 「獣の奏者」に続編があった、という驚きの他に、この続きにはさらなる驚きがあった。それは、最初の2巻では少女だった主人公のエリンが、なんと結婚し子供を持つ母となって登場するのだ。お~そうなのか、あのエリンが母になったのか。これだけでも何だか感動してしまった。

 

 さて、物語は、そんな彼女が大公に呼ばれ、闘蛇の中でも特別な存在である「牙」の大量死の原因究明を命じられるところから始まる。この物語の舞台であるリョザ神王国でエリンは、唯一王獣を操れる者なのだ。結果的に彼女は王国の存亡を左右する存在になってしまう。そこにエリンの苦悩がある。夫や息子とのおだやかな暮らしを求めながらも、やはり獣たちから離れることができないエリン。大量死の原因を探るうちに彼女は、闘蛇のこと、王獣のこと、そして母の死にまつわる真実など歴史の闇に葬り去られていた様々な事柄を知ることになるのだ。

 

 最終的に新たな決断を迫られるエリン。第4巻にあたる「完結編」のラストはまたまた壮絶な戦いになる。そして…。人間たちの愚かさを描きながらも、これはやはり希望の物語。そこには未来へと託された力強いメッセージがある。それにしても上橋菜穂子、スゴいなぁ。

 

●外伝はこれっ!!!

◎「獣の奏者」3,4巻は2012年8月、講談社文庫で文庫化されました。

2010.8.22 またまた暑さがぶり返して来た。これはもう確実に猛暑日だなぁ。今日は図書館でちょっとおもしろい写真集を借りた。そのうちここでも紹介します。

 

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