「at Home」はサントリーの烏龍茶や伊右衛門、無印良品などの写真で僕らにもなじみの深い写真家上田義彦の家族写真集だ。彼の妻は桐島かれん。この写真集の最初で彼女は初めての子を身ごもっている。やがて生まれる赤ちゃんは森繪、長女である。この家族の記録、ラストは13年後、そこには3人の少女と1人の男の子が写っている。森繪、はんな、像繪、そして、麟太郎、上田家は13年ののち6人家族になった。
ここにあるのは上田が写真集を作ろうと思って撮ってきた写真ではない。子供たちの誕生を喜び、家族との時間を愛おしみ、広尾、葉山、麻布と移り住んだ家々とその空間を愛し、残しておきたいという思いから撮られた写真だ。それは上田家にとってまごうことなき宝物である。そして、僕らもまた、子供たちの笑顔や母と子の触れあい、時おり出てくる家族としての犬や猫たち、さりげない家の中のショットなどを通して、そこに流れている時間や思いを共有することができる。13年という時の流れをも含めて。
かれんが書き残している十年日記の一部が写真の片隅に載せられている。これを読むと彼女はあの桐島洋子の子供だなぁ、と思わずにはいられない。その子育てや暮らしのポリシーがやわらかくて素敵なのだ。上田家の子供たちもかれんやその母のような凛とした大人に成長していくのだろうなぁ。
2010.11.7 写真集というのも時にはいい。詩集と句集、歌集も。川上弘美の句集「機嫌のいい犬」を買った。これはゆっくりと楽しもう。
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