このブログでも紹介した復刊本「昔日の客」の著者である関口良雄さんが亡くなったあとに、尾崎一雄、山高登両氏を中心に作られた追悼の一冊だ。一冊と言っても70ページほどの小冊子。しかしながら「昔日の客」の読者にとっては、これほどうれしいものはない。これこそ本当の「復刊」じゃないだろうか。出版元である夏葉社にパチパチパチと大拍手を送りたい。
さて、この追悼集、有名無名の26人が大森の古書店の店主であった関口さんを「憶う」文章を書いている。最後には息子さんの「父の思い出」という一文と妻洋子さんの「御礼」が入る。ひとつひとつにはあえて触れないが、これを読むと関口さんという人に無性に会いたくなってくる。表紙に写真があるが、もっといろんな顔を見たくなる。プロはだしの俳句をさらに読みたくなってくる。大森山王書房の店主は、おもしろくておかしくて、深くて優しくて魅力いっぱいの人だったのだ。
ヘンなことを言うが、ここに文章を寄せた人々は関口さんの死を惜しんではいるけれど悲しんではいないような気がする。死んでも彼はずっと一人一人の心の中に生きている。思い出せばポッと灯りがともるようにそこにいる。関口良雄というのはそういう人なのだ。
「昔日の客」とあわせてこれを読むことは本好き、書店好き、古本好きにとってはまさに幸せそのものである。
「昔日の客」の書評はこちら
2011.4.16 野球が始まるとハレホレとそっちの方に行っちゃうのよね私。ま、しょうがないか。読書は金城一紀「レヴォリューションNo.0」へ。この世界は好きだなぁ。
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