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【コミック/感想】漆原友紀「水域」-三世代に受け継がれていく「水域」への熱い思いに感動!

 アニメや映画にもなった「蟲師」の作者漆原友紀のコミック「水域」を読んだ。読み応えたっぷりの上下2巻だ。漆原の絵はそれほどうまさは感じないのだが、独特のタッチでその叙情的な作風に良くマッチしている。味わい深く、特に風景の描写がいい。

 

 この物語の主人公千波は真夏のある日、学校のグラウンドで急に倒れ意識を失う。その時に一瞬、冷たい水のある場所にいる自分を感じる。彼女は、さらにその後、家でウトウトとするうちに、その場所を訪れる。近くに住むおばあちゃんにその話をすると、思いがけない返事が返って来て驚く千波。それは、夢なのかそれとも…。彼女はその後も幾度となくその村を訪れることになる。そして、澄夫という男の子とその父親と出会うのだが…。

 

 気持ちのいい川と大きな滝のあるそこはいったいどこなのか?彼らの正体は?物語は、おばあちゃんや母親の話をからめながら夢の村へと近づいていく。作者は、彼女たちの回想と千波の夢、現実の世界の出来事をうまく絡めながら話を進めていく。このあたり、漆原友紀はなかなか巧い。長い年月の中で失われていったその場所のこと、そこで生まれ死んでいった人々、伝説の龍神と謎の玉、ラストで描かれる三つの世代に渡り受け継がれていく「水域」への思いは感動的でさえある。幾度となく読み返してみたくなる傑作コミックだ。

 

      

 

2011.9.8 なんだかMacの調子が悪かった。義弟がハードディスクを持ってるものと交換してくれた。持つべきものは義弟!読書は「津波と原発」を読み終え、次を探し中。小説に戻りたい。

 

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