いやいやいやぁ、これはおもしろいなぁ。こういう小説を書く女性作家がいることに僕は喜びを感じる。素晴らしい!とはいえ、この小説、いったいどこまで紹介したらいいのか。「母親ウエスタン」というこのタイトル! その意味を説明すれば、なぁ〜るほど、となるのだけど…。いやぁ、これはなぁ、読み進めていくうちに自分で発見するべきなのだ。
冒頭から戸惑いがある。広美という女の話と恋人同士であるあおいと祐理の話が交互に語られるのだが、2つの話がどう結びついて行くのかなかなか見えて来ない。どうなってるのかなぁ、と読み進めていくうちに、あ〜そういうことか、と突然気がつく。タイトルの意味も理解できて、はははっ!と笑う。そこまでが第一段階。
これがわかると、いったいこの女、何なんだ?という別の興味がわいてくる。不思議な女である。「おそれいりましてございます」などというヘンな言葉使いをする彼女、その造形がいい。そして、祐理たちとの関係…。後半、広美の隠された過去やとんでもない秘め事があきらかになる、ここまではいいのだが、終盤にかけての展開はちょっとウェット過ぎて僕には物足りない。違う終わり方があるのではないか。だって、「母親ウエスタン」だぜぇ。思わせぶりで申し訳ないけれど、ぜひこの小説読んでみて欲しい。それにしても、原田ひ香、すごいぞ!やるもんだ!この人からは当分目が離せそうもない。
◯この本は2015年1月、光文社文庫で文庫化されました。
2013.2.15 ついにMacを買い替えた。今日届いたのだけどデータ移行とかあるしなぁ。いつから使えるか? 読書は小川洋子「ことり」。
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