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【書評】綿矢りさ「大地のゲーム」-舞台は大地震後のキャンパス…狂喜に似たパワーに希望はあるのか

 綿矢りさはいったいどこに向かっているのだろう?このブログでも感想を書いた「ひらいて」は、恋愛小説を超えた強く激しい魂の物語だったが、この「大地のゲーム」は近未来の大学キャンパスを舞台にした小説だ。しかも、震災後という設定である。

 

 その夏、未曾有の大地震に襲われたこの国は、一年以内にまた巨大な地震が来ると政府が警告を出している。原発はすでになく、ネオンがきらめく街を実際に知る人間などもういない。主人公の「私」は地震後も大学構内で暮らしている。キャンパスには、帰れる家があるのに寝泊まりを続けている男女がなぜか大勢いるのだ。彼らは地震の恐怖に怯えながらも学園祭の準備を続けている。「世界の割れる音を聞いてしまった」若者たちの日々はヘンにエネルギッシュだ。それは学生運動華やかざりし頃を思い出させる。リンチ?で人が死に、カリスマ的「リーダー」の元、半宇宙派なんていう名の集団ができ、狂気に似たパワーが充満している。極限状態が続く中、作者はそういう力強さにこそ希望を見い出そうとしているようだ。

 

 「私」には「私の男」がいて、強く思う「リーダー」がいる。彼に愛されている「マリ」に対する「私」の嫉妬…。本能的なものが何よりも先行する世界…。強く強く「生」を感じるラストがとてもいい。

 

◎「大地のゲーム」は2015年12月23日、新潮文庫から文庫になりました。

2013.9.30 あ〜もう「あまちゃん」はないのか。脚本が森下佳子さんなので「ごちそうさん」も期待したい。読書は小野不由美「丕緒の鳥」。

 

 

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