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【書評】尾﨑英子「小さいおじさん」-後半になって生まれる「うねり」がなんだかちょっとスゴい!

 曜子と紀子と朋美、中2の時にクラスメートで今28歳というビミョーな年齢になっている3人の女性たちが主人公。なんだか急にはじけちゃった母親のことが気がかりな曜子、ママ友ができずにちょっとストレスがたまっている紀子、そして、朋美は不倫相手が突然この世から消えてしまい、そのことを受け入れられないままでいる。

 

 こういう女性たちの話は最近よく読むし、よくある感があって最初はなかなか乗りきれなかった。ただ、朋美が同窓会で話した、学校の近くの神社で見たという人差し指ぐらいの小さいおじさんの話がいいアクセントになっている。これがあるおかげで物語の興味を後半までつなげることができた。

 

 3人は仲良しグループというわけではない。物語が進むに連れて新たな接点も生まれたりするのだが、住む場所も違うし、世界も違う。それでも彼女たちが遠い中学時代を起点に「ライトにつながっている」感じがなんだかとてもいい。物語は後半になってグングンとうねりが出てきて、おもしろくなってくる。特に曜子と母親のスナックでの対決シーンは傑作。これスゴいなぁ。この小説、意外にも家族小説でもあるんだな。読後感もすごく良く、なんだか元気まで出てきた。

 

 ボイルドエッグズ新人賞の受賞作。尾﨑英子(サキはこっちの﨑)、巧いし、新人とは思えないしっかりとした文章を書く。次回作が楽しみだ。小さいおじさんが出てくるのはまったくかまわないが、これ、タイトルにしたのはどうなのかなぁ?マイナスになってるような気がするけれど…。

       

2014.3.6 サッカー日本代表、4点は取ったけど…どうなのかなぁ。なでしこの方は大分良くなってきてる。読書はヨシタケシンスケ「せまいぞドキドキ」。

 

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