また、本の話をしてる

おすすめ本の紹介や書評、新刊案内など、本関連の最新ニュースを中心にお届けします。

【絵本/感想】ショーン・タン「夏のルール」-この絵本には遠い夏の日への郷愁が確かにある

 これはいいなぁ。ショーン・タンの最新の絵本。訳者は岸本佐知子!なにがいいって、大判なのがまずいい。何判って言うのかな?ヨコ31センチ弱でタテ28センチ弱。これぐらい大きいとショーン・タンの絵を存分に楽しめる。パラパラ見る、じっくり見る、何度も見る。いろいろな謎があり、新しい発見がある。すごく楽しい!!

 

 タイトルの通り、これはルールの話。ルールって経験が元になってるのだから、言い換えればひと夏の経験の話だ。主人公はショーン・タンの兄弟がモデルになったという男の子2人。最初に「去年の夏、ぼくが学んだこと。」とあり、次のページから「ルール」が語られていく。左ページに一行のルール、右ページがそれに対応した絵。最初のルールは「赤い靴下を片方だけ干しっぱなしにしないこと。」。絵は、真っ赤な巨大ウサギが狭い路地を進んでいき、兄弟が震えているというヴィジュアル。もちろん赤い靴下も。なんだか恐ろしく、ちょっぴりユーモアのある絵が続き、不思議な気分になってくる。正装した不気味な鳥たち、怪しい機関車、巨大な猫などなど、まさにショーン・タンワールドだ。

 

 「夏の最後の一日を見のがさないこと。」というお終いのルールも素敵。読み終えて本を閉じると、子供の頃の夏休みが蘇ってくる。自由でなんの束縛もなかった夢の様な日々!この絵本には遠い夏の日への郷愁が確かにある。

 

◯ショーン・タンのその他の本のレビューはこちら

  

 

2014.8.21 広島、大変なことに。今年は特に水の事故が多かったような気がする。読書は山内マリコ「ここは退屈迎えに来て」を文庫で。

 

【書評ランキングに参加中】

ランキングに参加中。押していただけるとうれしいです。

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ