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【書評】片岡義男「ミッキーは谷中で六時三十分」-片岡義男、74歳でこんな小説書くなんて不良だっ!

 片岡義男っていくつかなぁ、と思って調べたら74歳だった。ううむ、不良だ。74にもなってこんな小説が書けるなんて絶対に不良だ。素晴らしい!!!もちろん片岡義男という作家は、進化を続けているのだけれど、基本的には「時代」がのろのろと彼を追いかけて、やっと最近になって追いついて来た、という感じがする。昔から彼の小説は今みたいにかっこよかったのだ。

 

 さて、この短編集。谷中、高円寺、三軒茶屋、吉祥寺など、東京の街を舞台にした7つの物語が収められている。とはいえ、片岡義男の小説、一筋縄ではいかない。大体、ひとつの街にとどまらないのだ。あっちに行ってこっちに行って、さらにあっちに行って…。主人公は転々とし、話もまた転々とする。読者はいったいどこに連れて行かれるのか、どんな結末が待っているのかさっぱりわからない。

 

 行先不明のルンバに乗ってフラフラと走って行く快感!リアルのようでリアルではなく、リアルじゃないようで、やっぱりリアル。そこには男と女がいて、コーヒーのある空間があって…。たぶんこれは片岡氏の中では計算されつくされた物語に違いない。でも、なんだかそう思えないのがスゴい。昔、青春の中で彼の小説にはまったように、またまた片岡義男にはまりそう。いいなぁ74歳の不良。

 

◯片岡義男のその他の本のレビューはこちら

 

 

 2014.9.1 9月になっちゃった。今週も天気悪いなぁ。ううむ。え〜っと読書は辻村深月「島はぼくらと」。

 

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