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【絵本/感想】酒井駒子「ゆきがやんだら」-それは母と子だけの雪の1日。美しく切ない物語

 酒井駒子の絵は心の奥底までスーッと降りてきて、そのままそこにとどまっている。そのうちそれは温かみを帯びてきて心を優しく包み込む。「ゆきがやんだら」は2005年の作品。アメリカ版「THE SNOW DAY」はニューヨーク・タイムズの「今年の絵本ベスト10」に選ばれ、オランダでも絵本の賞を受賞している。彼女の絵は国や人を選ばず、誰にも自然に受け入れられ、そして、愛されている。

 

 夜中から降り続いた雪。朝、ママの言葉に驚いて外に飛び出そうとする仔うさぎ。雪はシンシンと降り続き、幼稚園も休み。パパは出張中だけれど、飛行機が飛べなくなって帰って来られない。ママと2人の静かな静かな雪の日。ベランダに出てみる母うさぎと仔ウサギ。「ぼくとママしか いない みたい、せかいで」。夜になってようやく雪も止んだ。「ママ、ママ、そとに いって いいでしょ。ゆき やんでるよ」。白一色、誰もいない夜の町を歩いて行く2人の姿に心を揺さぶられる。擬人化、などということを超越した美しく切ない物語だ。

 

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2015.2.2 湯川さんに続いて後藤さんまで…。言葉もない。読書は角田光代「笹の舟で海をわたる」。

 

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