今年の小学館児童出版文化賞受賞が決まったばかりの作品。オオサンショウウオにも興味があったので早速読んでみた。福田幸広さんが撮った貴重な生態写真に、ゆうきえつこさんが文章を付けた写真絵本だ。
中国山地の山奥、島根県の小さな川で撮られた写真が何と言っても素晴らしい。小さいけれどつぶらでどこにあるかわからない目!石に擬態しちゃうその身体!夏至の頃、オスのオオサンショウウオは年に一度の大仕事をするためにある場所に向かう。数キロの距離を時に1ヵ月もかけて。彼は巣穴を自分で見つけて、そこを守り、メスを迎えて産卵を助け、子育てまで自分でするのだ。
産卵のシーンが何とも美しくて感動的。こんな写真よく撮れたなぁ。福田氏によると1年のほとんどを鳥取で過ごし、何日も何時間も川に潜ってこの写真を撮ったらしい。でも、と彼は言う。「まだまだオオサンショウウオのことはよくわかりません」「不思議に思うことがたくさんあります」と。彼はこれからも写真を撮り続けるだろうし、新たな生態も明らかになってくるだろう。しばらく時間はかかりそうだけれど「次」を楽しみに待つことにしたい。写真はいいけれど、文章がちょっとこなれていない感じで残念。
2015.9.17 まだまだ委員会が紛糾してるのでなんだか落ち着かない。読書はカズオ・イシグロ「忘れられた巨人」。なかなか進まない。
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