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【コミック/感想】フジモトマサル「二週間の休暇」-フジモトマサルワールドから抜け出せなくなりそうで怖い

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 フジモトマサルの絵は何だかとても好きだ。どこがどう好きなのか、言葉にするのはなかなか難しいのだけれど、お弁当箱ひとつ描いたとしても、そこに「何か」を感じる。一コマ一コマが奥深く不思議な空気感がある。この世界にはまってしまうと抜け出せなくなりそうで少し怖い。

 

 さて、新装版が出た「二週間の休暇」という物語。これもまたフジモトマサルワールド全開のコミックだ。主人公の日菜子はふと気がつくと、昔のことが思い出せなくなってしまっている。周りにいるのは普通に話しかけてくる鳥たちばかり。しかし、この世界は彼女にとってとても居心地がよくて…。

 

 ある日もらった「記憶の紅茶」でよみがえった過去は、ストレスフルで彼女は仕事に疲れ果てていた。「なにもかも忘れてゆっくり休みたい」という思いが届いて「鳥の国」に招待されたらしいのだ。そして、この世界は実は…。

 

 そこで過ごすことは日菜子にとっての休暇であると同時に、読む者にとっての心の休息であるような気がした。その静謐な物語が読む者を救ってくれるのだ。フジモトさんは昨年11月にこの世を去った。この独特の世界をまだまだ読みたかったのに…。

 

◯公式ホームページ「フジモトマサルの仕事」があります。

 

 

2016.3.25 またまた寒いではないか。ううむ。読書は「その女アレックス」を読んだ流れでそのままピエール・ルメートル「悲しみのイレーヌ」。

 

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