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【映像化】明日15日から朝井リョウ原作の映画「何者」スタート!

 さてさて、今日スタートの「永い言い訳」に続いて明日からは「何者」が始まります。原作は2012年下半期の直木賞を受賞した朝井リョウの同名小説。就活とその只中にいる大学生をリアルに描いた青春小説の傑作です。書評、書いてます。引用しますね。

 

 

渦中にいる者たちの生きていく姿!これは青春小説の傑作だ。

 ちょうど直木賞受賞発表の日に読み終わった。まずはテーマそのもの
をひと言で言い切ったタイトルが素晴らしい。これはタイトル勝ち!周
囲の評判も良かったので期待して読み始めたのだが、前半はフツーな感
じで傑作感はほとんどない。「何者」は、語り手である拓人、ルームシ
ェアしてる友人の光太郎、その元カノ瑞月、瑞月の友人の理香、一緒に
暮らす隆良、同じ大学の3年生である彼らとその友人たちの物語だ。彼
らの就活はまさに今、スタートしたばかりである。

 中盤の少し前、拓人と瑞月との電車の中でのいい場面があり、そのあ
たりから物語は加速度的におもしろくなっていく。登場人物たちの本音
や本性が垣間見えてくる。就活はいつの間にかシステム化され、マニュ
アル化され、それがために様々な噂が飛び交い、疑心暗鬼や相互不信を
生み出している。そんな中で、なんとか志望する会社から内定をもらお
うともがき苦しむ大学生たち。何者かでありたいと切に思う者、何者か
であるはずだと信じて疑わない者、何者かになりたいと必死にもがく者、
なぜかスイスイとその壁を越えていく者。まさに渦中にいる者たちの、
生きていく姿!

 終盤、瑞月が、そして理香がまるでぶち切れたように男たちに向かっ
て咆哮する。この場面が本当にスゴい。それは実際に就活を経験し社会
人になった朝井自身の思いだろう。必死でがんばる者をどこか馬鹿にし
たり、斜めに見てる者たちの存在。そして、そういう人間を生み出す就
活そのものへの怒りや哀しみ。同時にここには就活生に向けてのエール
もある。朝井リョウはしっかりと彼らを見つめている。そのまなざしの
確かさが生み出したこれは青春小説の傑作である。(2013.1.20記)

 

 

 わぁ、文庫の表紙って今、こんなになってるんだ。うううううむ。

 

 

 

  朝井リョウはデビュー作からずっと読んでる作家ですが、対象に対していつも真摯に向き合っている感じがしてとても好きです。映画はなんといっても配役がすごい!まさに旬の役者が結集してる感じ。ぜひぜひ観たいです。


 え〜っとそれから、アナザーストーリー「何様」にも注目です。

 

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