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【書評】浅生鴨「猫たちの色メガネ」-27の奇妙な味のショートストーリー、さてどれが好き??

 作者はNHKのツイッターアカウント@NHK_PRの中の人1号として有名になった浅生鴨さん。今は主に執筆活動に注力している、と紹介にある。「猫たちの色メガネ」はデビュー長編「アグニオン」に続く2冊目の小説で、27のショートストーリーを集めたもの。ショートショート的なちょっと奇妙な物語が集まっていておもしろいのだけれど、人によって好みが分かれそうだ。

 

 僕はこういう短編の場合、設定だけで笑わせたりするものより、風刺的であったり、諧謔的であったりする方が好きだ。「猫たちの色メガネ」は、どちらかというと前者の方が多いので、そういう意味では少々物足りない。設定で読ませる話って、作者のドヤ顔が見えていやなのだ。


 いや、それだったら風刺的な方こそそうなのでは、と思う人もいるでしょうが、ストンと巧いところに落ちた時の快感は、ドヤ顔を凌駕するような気がする。設定で読ませる話なら、最後の最後までグイグイと攻めたてて話が破錠しちゃうぐらいがいい。

 

  どの話にも猫が出てくるのだけどそれがどういう意味を持っているのかは僕にはちょっと分からない。好きなのは「冷やし中華始めますか」「名前のない人」「余計なひとこと」などなど。まぁ、読んでみなければそのおもしろさは分かりにくいかも。浅生鴨さん、文章も上手く、構成も巧みなので、今度はぜひ長編の現代小説を書いてもらいたい。

 

 2017.11.16 なんだか本当に寒くなってきたぞ。北風ピューピュー!読書は角田光代訳「源氏物語 上」。

 

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