公園で見かけたブサイクな白い野良猫。作者の太田さんはしっぽの柄が特徴的なその猫に「ぽー」という名前を付けた。飼い主のいない猫を保護し、去勢手術を受けさせて元の場所に戻すTNR(Trap Neuter Return 地域猫化)と給餌活動を続けている太田さんの職業はプロのカメラマン。この本は、そのTNRの対象になった一匹の猫と太田夫婦の物語だ。
で、このぽー、よくよく観察してみると、ケガもたくさんしているし、他の猫からもよくいじめられている。どうやら「町内最弱の猫」のようなのだ。それが分かると、ぽーのことが気になってしょうがない太田さん。写真と共にカレのちょっと情けない日々が綴られていく。真摯でてらいのない猫愛に溢れた文章がとてもいい。
しだいに性格がわかってくると、どうやらこの猫、弱いというより争いごとが嫌いなだけらしい。そんな平和主義の猫にどんどんと惹かれていく太田夫妻。そして、胸にしこりがあるようだと病院に連れて行ったのを契機に、ぽーは太田家の猫になるのだ。
先住猫であるとらとまるとシロの中でもぽーはやっぱり最弱。人といる時が一番リラックスしている。そんなポーもいろいろ病気などが出てきて…。ラストの太田さんの想いが溢れる一文がたまらない。なんだか泣けて来るぞ。それにしてもこの「猫と人のカンケー」いいなぁ。ポーの細くて優しい目が忘れられそうにない。
2017.12.8 五輪のマスコットがあまりにアニメアニメしてて嫌になる。ああいうのしかないのかなぁ。読書はビートたけし「アナログ」。
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