まず、タイトルがいい。天下無敵!タイトルだけで読みたくなる。そして、表紙がいい。この写真は中でも再度登場しているのだが、シーナがアルゼンチンの地球最南端の町で出会った犬だ。レストランに入った主人を彼(彼女?)はじっと待っている。そして、写真がすべてモノクロームなのもいい。どこかで深く旅の哀愁を感じる。
シーナは旅の人だが、その途上でたくさんの犬の写真を撮る。それをまとめたのがこの写真集だ。全体は「犬と子供はともだち」「犬にはヒルネがよく似合う」「一匹犬」など10のセクションに分かれている。それぞれの写真に短い説明が付き、ちょっと長めの犬エッセイが5つ、途中に挿入される。このエッセイもなかなかいい。昔飼っていた犬の話、石垣島でのワンサという犬との出会い、バリ島で会った神の犬、カヌー犬ガクとのことなどなど、どれも強く心に残る。
ここに登場する犬は今テレビによく出てくるおしゃれな犬たちとはまったく違う。ほとんどが放し飼いだったり働く犬だったりで、顔つきも少し厳しい。それでも彼ら彼女らは人と共に生きている。人の暮らしに寄り添っている。そして、とても自由だ。そんな犬たちを見つめるシーナの眼差しはとてつもなく優しい。
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