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【コミック/感想】池辺葵「プリンセスメゾン 」-運命の物件はどこに?ここには都会を生きる女性たちの孤独の痛みがある

 何に掲載されたのか忘れてしまったけれど、「今おもしろいコミック」のリストにこの作品があった。僕の場合、どんなに評判がよくても絵が好みじゃないとダメなので、紹介されていた幾つかのコマとその内容に心惹かれたのだと思う。タイトル、なんだか聞いたことあるな、と思ったらなんとNHKBSプレミアムで2年前にドラマになっていた。ううむ、見逃してしまったぞ。ショック…。

 

 さて、コミック。マンションギャラリーで主人公がPRムービーを見ている、という印象的なシーンから物語は始まる。案内嬢によると彼女は「鉄の心の持ち主」で、1人でファミリー向けの物件を見るのも平気なのだそうだ。ふ〜ん、なんだかいいぞ。

 

  沼越さんという名のこの女性、話が進むにつれてその正体?が明らかになっていく。彼女は居酒屋チェーンに勤めていて収入は少ないが、マンション購入の夢を諦めていない。「運命の物件」に出会うためにモデルルーム巡りを続けている。沼越さんが不動産屋のスタッフたちとしだいしだいに心を通わせていくプロセスがとてもいい。マンション購入に対して

 

大きい夢 なんかじゃありません。

自分次第で手の届く目標です。

家を買うのに、自分以外の誰の心もいらないんですから。

 

まずは自分の人生を

ちゃんと自分で面倒みて、

誰かと生きるのはそのあとです。

 

 と語る彼女は、外見はちょっとモッサリとしているけれど、心はキリッとしていて気持ちがいい。そんな沼越さんの物語にはさまれるように、案内嬢たちのエピソードや他の一人暮らしの女性たちの話が語られる。東京という大都会の中で、片意地張りながら、それでもなんとか生き続けている彼女たち。その強さと弱さ、夢と日常をこの物語はクッキリと描き出す。ベッドに入った女性たちを俯瞰で捉えたいくつものシーンがそれぞれの孤独を浮かび上がらせ印象的だ。

 

 コミックは5巻まで発売中。2巻までをアッという間に読んだ。続きが気になる、気になる。買いに行かねば。

 

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