松本大洋のコミックや絵本はいつも気になる。これは「ビッグコミックオリジナル」に連載されていたもの。オールカラーの大型本もあるのだけど、表紙はこちらの方が断然いい。鉛筆と薄墨で作画されたというやさしくて繊細な絵が素晴らしい。
ルーヴルのガイドを務めるセシルは、案内の最中に小さな白い猫を見かける。まさかルーヴルに猫が?絵を見るためについつい出てきてしまうこの猫の他にも、美術館の中には数匹の猫がいる。それを知っているのは夜警の老人マルセルとその仲間たちだけ。彼は時々、猫たちに餌を与えている。この猫たち、代々ルーヴルに住んでいるという。
マルセルには50年以上も前に失踪した姉アリエッタがいる。ルーヴルが遊び場だった姉弟。「絵の声が聞こえる」といつも言っていた姉を、マルセルは今でも探し続けているのだが…。
ルーヴルという空間、そこに住む猫たちの世界、少女の失踪の謎と白い子猫。いろいろなものが重なり溶け合って特別な物語が紡ぎ出されていく。そして、終盤。「絵入り」という謎の言葉、白猫の失踪…。マルセルはアリエッタと再会することができるのか?時を超え、空間を超える命の物語が強く心を打つ。
◯オールカラー豪華版はこちら
◯松本大洋の絵本などの感想や情報はこちら
2018.6.6 そうかぁ、来週ワールドカップか。永遠のにわかサッカーファンである私はまったく盛り上がらない。読書は宮部みゆき「あやかし草紙」。
【書評ランキングに参加中】
ランキングに参加中。押していただけるとうれしいです。