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【書評】辻村深月「かがみの孤城」-子供たちへ、この力強いエールを!

 今年の本屋大賞受賞作。プロローグ的な最初の見開きページから胸が締めつけられるような思いになる。学校でいじめを受けた主人公のこころは不登校になり、ずっと家に引きこもっている。そんなある日、部屋の鏡が光り、手を伸ばした瞬間、中に引き込まれていった。そこで待っていたのは狼の面をつけた女の子。そしてこころと似た境遇にあるらしい6人の中学生。9時から17時までいられるその不思議な城の中で、彼らはある課題を突きつけられる。期限は約1年。


 7人の男女にはそれぞれの事情があり、それぞれの思いがある。彼らは、最初は反発しあいながらも次第に関係を深めていく。そして、ある日、転換点となるような「出来事」が起こる。そこでは、パラレルワールドという言葉も語られ、そして…。実はこの物語、未読の人に教えられることは本当に少ない。この転換点からの怒涛の展開は驚きに満ち満ちている。終盤、次から次へと様々なことが明らかになり、そこから振り向いてもう一度物語を見れば、新しい景色がパーッと広がる。

 

  いろいろなメッセージがあるのだが、作者が一貫して伝えようとしているのはこころたち7人への力強いエールだ。不登校の子、いじめを受けている子、複雑な家庭環境の子供らにしっかり寄り添おうという思いが強く感じられる。この物語は、そんな子供たちにとって救いの一冊になることは間違いない。こころ、アキ、フウカ、スバル、リオン、マサムネ、ウレシノ、この7人の名を僕は決して忘れることはないだろう。

 

◯2018年本屋大賞の結果はこちらから

本屋大賞

 

2018.9.7 台風に大地震、自然の脅威に慄いている。僕たちはそういう国に住んでいるのだ。被災地の皆さんが早く普通の生活に戻れますように。読書は村田沙耶香「地球星人」。

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