いやいやいやいや、これはすごいなぁ。すごすぎる。こんとん、って元々は中国の神話に出て来る怪物のことで、この絵本で語られる通りの話があるらしい。さらに後半部の帝が訪れる話はあの「荘子」の中で語られているという。こういう話が生まれちゃう昔々の中国が、まずすごい。そして、その話を独特の文体で新たな物語に仕立て上げた夢枕獏がすごい。
さらにさらに、こんとんという怪物を具現化し、物語にキュートな絵をつけた松本大洋もすごい。すごい×すごい×すごいで、一体どれぐらいすごいのかわからなくなっちゃう。で、「こんとん」ってどんな話?「こんとん」って何?
うむ、こんとんについては実はあまりよく分かっていない。犬のような姿で長い毛が生えてる、ってことも、目も耳も鼻も口もない、ってことも…ほんとなんだかどうなんだか。ただ一つ確かなことは
こんとんのやつ
いつも 空を みて
笑っているんだなあ。
それだけ。で、このこんとんのところに南の海の帝と北の海の帝がやってきて、ね。
あ〜もうこのあとは言いたくないの。で、こんとんの話なのだけど、これはつまりは人の話、僕と君とみんなの話。最後はしっかり泣いてしまう。とにもかくにも読んで欲しい。読んだらきみも思うだろう。いやいやいや、すごいぞこれは。
DATA ◆夢枕貘:文 松本大洋:絵「こんとん」(偕成社)1600円(税別)
◯マイ帯コピー〈僕が考えた帯のコピーです〉
目もなく耳もないのに、きみは何を見ていたのだろう?
こんとんは、いつも空を
みあげて笑っていたという。
◯松本大洋の絵本はこの2つも好き!
2019.3.15 なんだか時間をうまく使えない日々。あ〜もったいない。読書はピーター・スワンソン「そしてミランダを殺す」。
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