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【エッセイ/感想】村山由佳「もみじの言いぶん」-もみじは言うのだ「うち、ここにおるやん」!

 「もみじの言いぶん」は村山由佳の心のリハビリだ。村山さんが愛した猫もみじは1年前にこの世を去った。その経緯と村山さんともみじの愛おしすぎる物語はこのブログでも紹介した「猫がいなけりゃ息もできない」に書かれている。で、こちら、タイトルで分かるように、もみじの一人語りというスタイルで書かれたエッセイ集だ。

 

 言うまでもないことだが、もちろん書いたのは村山由佳だ。生前からもみじはツイッターの読者に向けて、大阪弁で語りかけていた。この可愛らしい猫と大阪弁はなんだかちょっとギャップがあるように見えるのだけど、不思議とこれがしっくりと来る。

 

  基本的にこの本の構成は、左に写真、右にもみじのトークが入るので、もみじの写真がたくさん入っていてうれしい。最初のエッセイは「安眠妨害」というタイトル。さて、その第一声は?

 

どちらさんも、ご機嫌さん。<もみじ>ですー。

しばらく留守しとってかんにんやで。

 

 写真はもみじの遺影と花が飾られた彼女の現在の「居場所」。さて、「安眠妨害」の締めくくりの一文は、

 

あとな、二人とも気ぃついてないみたいやけど……。

ベッドの上、こっちからまーる見えやで。まーる見え。

えんのんかいな。知らんで。

 

村山さんが素敵なのはこんな風に自らをシャレのめすことができること。

 

うちのかーちゃんな、言うたら何やけど、アカンタレやねん。

 

相変わらずの、親バカちゃんりん。

 

かーちゃんはな、大の字どころか、バンザイしてねよんねん。

 

 こんなエッセイがおもしろくないわけがない。しかも、もみじの言葉を借りて、2人!の日々を振り返り、もみじのことを思い出し、もみじへの永遠の愛を確かめる。何とも素敵な関係だなぁ、と改めて思う。最後に作者自身の「あとがき」が付く。村山さんは、もみじが生まれ変わり、彼女の元に戻って来ると信じている。その一文にまたまた涙する。あぁ、もうなんだか涙もろくなっちゃったわ、私。

  DATA◆村山由佳「もみじの言いぶん」(新潮社)1300円(税抜)

 

◯「猫がいなけりゃ息もできない」の感想はこちら

 

 

◯勝手に帯コピー〈僕が考えた帯のコピーです〉

 

うちがいなくなって、もう1年経ったで!

これはかーちゃんの

心のリハビリやで

 

 

 2019.5.24 なんだか暑いぞ。読書は木皿泉「カゲロボ」が終わったところ。これ書評書くのがちょっと難しい。

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