先日「この まちの どこかに」を読んで1冊ですっかりファンになったシドニー・スミス。この絵本はジョナルノ・ローソンの原案に彼が絵を書いたもの。こちらも「この まちの どこかに」同様、ニューヨークタイムズ・ベストイラスト賞、カナダ総督文学賞などを受賞、高い評価を受けている。2016年出版の絵本だ。
シドニー・スミスの絵は人の造形では今年発売の「この まちの どこかに」は及ばないが、その独特のタッチや細やかに描かれた街の光景などには彼らしさが横溢している。個性的で魅力的な絵だ。
パン屋の帰りだろうか、お父さんと手をつなぎながら帰路につく赤いフードがついたパーカーの女の子。最初はこの赤だけがカラーで街やお父さんたち人間はモノクロームだ。コンクリートの隙間に生えたタンポポを見つけた女の子。彼女は帰り道のあちらこちらで小さな花を見つけ、摘み取り、手に握りしめたまま歩いて行く。
公園の中の道だろうか、彼女は死んで横たわっている小鳥を見つけ、いくつかの花を小鳥に捧げる。風景に少しずつ色がついてくる。さらに少女はベンチで寝ている男や散歩中の犬にも花を。そして、やっと我が家へ、そこでは…。言葉はまったくないけれど、いいなぁこの話。シドニー・スミスワールドだ。まだまだ読みたいぞ。
◆DATA ジョナルノ・ローソン:作 シドニー・スミス:絵「おはなをあげる」(ポプラ社)1400円(税別)
◯これはぜひ読んで欲しい、シドニー・スミスの傑作絵本!!