大きな話題を呼んだ前作の続編。前回イエローだった表紙の色がちょっとブルーに。今回も中田いくみのイラストがいい。帯に「ついに完結」とあるけれど連載は終わったのだろうか?これは違う形でもいいから書き続けて欲しいけど、椎名誠の「岳物語」が岳本人の希望で彼を主人公にした話が書けなくなったように、これもまた「ぼく」が13歳になっていろいろと難しくなってきているのかもしれない。最終章で語られる「ライフ」の話など息子が大人の階段を登り始めていることを強く感じる。
さて、2。前作同様とてもおもしろく刺激的だ。相変わらず英国は移民の問題、差別問題、貧困問題、さらに世界的な流れではあるけれどSDGsやLGBTQなどの問題で揺れ動いている。さらにそこに息子自身の学校での出来事も加わり、ブレイディ家は混乱の中?にある。まぁこれはみかこさんの意識の有り様なのかもしれないけれど、英国は政治が日本よりずっと人々のそばにあるような気がする。普通のおっさんでも政治論議してるもんな。日本ではこんなに政治のこと社会のことを語ったりしないだろう。今回はダンプの運転手である彼女の配偶者が結構いいこと言っててちょっと笑った。息子の意識もさらに高まり、前回以上にモノを見る目が鋭い。本当に13歳?って感じさえする。
全11章だが一番気になったのは8章の「君たちは社会を信じれらるか」だ。台風の時に東京の避難所からホームレスが追い返された話を息子がスピーチコンテストのテーマに選んだエピソードなのだが、そこから「社会を信じる」という大きな問題へと彼の意識は動いていく。ううむ、やっぱり息子の今後、気になるぞ。続編をぜひ!
◆DATA ブレイディみかこ「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2」(新潮社)1300円(税別)
学校にもお隣にも社会にも
「ぼく」を惑わす問題がある。
◯「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」の感想!文庫になってます。
2021.11.4 妻によると昨日、吉祥寺の街はすごい賑わいだったらしい。コロナ終わった感が強い???読書は窪美澄「たおやかに輪をえがいて」。