いやいやこれはおもしろい!ブラチスラバ世界絵本原画展で金牌を取ったしおたにまみこの「たまごのはなし」。絵本より少し文章量が多い絵童話だ。この原画展、物語は評価の対象外であくまで絵の評価らしいが、木炭鉛筆で描かれたたまごワールドは繊細で不思議な味があってとてもいい。でもそれ以上なのが、この物語!この文体!このたまごのキャラ!いいなぁ、しおたにまみこ。
とにかく、この急に「自我」に目覚めちゃうたまごがおかしい。目覚めた途端になんだかすっごく「えらそー」。で、マシュマロを仲間に引き入れたり、上から目線というかとにかくキャラが立ってるのだ。そのキャラを生み出している文体もいい。
で、この絵童話、「めをさましたら」「さんぽ」「あめのひ」と3つの話が収録されているのだけど、読み進めていくうちにこれはけっこう深い話なんだ、って思い始める。たぶん、深いのよ。
ばかなやつに あったりすると、
きみの いちが ずれるような かんじがする。
なんて表現もおもしろい。あ、「きみ」って「黄身」ね。マシュマロが話すナッツたちの話も意味有り気だ。でも個人的にはその深いところはどーでもよくて、この文体とこのキャラとこの絵を楽しめただけで幸せ!皆さんもぜひ!!
◆DATA しおたにまみこ「たまごのはなし」(ブロンズ新社)1100円(税別)
◯勝手に帯コピー(僕が考えた帯のコピーです)
ちょっとえらそーな
たまごのはなし、
聞いてみませんか?
◯しおたにさんの受賞メッセージです
◯受賞発表サイトはこちら!
2021.11.10 昨日と打って変わって今日の東京は快晴で気持ちがいい。読書は窪美澄「たおやかに輪をえがいて」。
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