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【エッセイ/書評】角田光代「明日も一日きみを見てる」ーマンションから戸建てに引っ越した角田家!12歳のトトが遭遇した猫生最大の事件とは?おぉぉぉぉ!

 

 角田さんが愛猫トトのことを書いた猫エッセイの第2弾、読んでなかった第1弾「今日も一日きみを見ていた」を読んだ勢いでそのままこちらへ。タイトルもリンクしていていいなぁ。で、「今日も」の単行本が出たのは2015年、こちらは2023年。8年ぶりということになる。前作では生後3ヵ月で角田家にやって来たその当時のことが書かれていたけれど、本書でトトは12歳、最後には13歳になっている。写真見ても、なんだか貫禄出てきてるでしょ?

 第1弾で各章は「猫、病院にいく」など「猫、◯◯◯◯」というようにタイトルが統一されていたけれど今回は「病院と絶叫事件」などすべて「◯◯◯◯事件」になっている。いやいやいや、事件多いよ。大事件もあるよぉ〜。で、のっけから一大事!角田家がマンションの10階から一戸建てへと引っ越したのだ。これはトトにとっても環境の大変化で大変なこと。実際、いろんなことが次々と起こった。今までいなかった虫たちがどんどん家に侵入してきて大騒ぎになるし、外猫たちとの初めての遭遇もある。そのためのストレスでトトちゃんハゲちゃったり。話題に事欠かない一軒家ライフ!!!そして、角田さんを恐怖のどん底におとしていれたトトの大脱走事件!ここでの締めのフレーズがこの本の白眉だ。

 

「トトったら、完全に猫っぽかったなあ、と思うだけで笑いがこみ上げる。なんだってあんなに猫みたいになったんだろう。っていうか、そんなふうに思われる猫ってどうよ。笑いが止まらない。こわすぎると人は笑うのだとはじめて知った。」

 

 心配性の角田さんはいろんな場面で泣きそうになってこちらも身につまされるのだけど、それと同時に猫のいる暮らしってやっぱりいいなぁ、と思ってしまう。いつもじっとりとしていて体にいいものは一切食べないトト。写真もたくさん入っていてうれしい!

 

 で、あとがきがすこぶるいい。猫と暮らすようになって一番大きな変化として角田さんが「しあわせ感の変化」をあげてる。猫紀元前(BC=Before Cat)のしあわせとは「坂道を上がっていくようなこと」だったのが、猫紀元後(AC=After Cat)になると「毎日が平坦であること。今日が昨日のコピーのような一日であることを、私はせつに願うようになった」「どうか明日も一年後も、今日とおんなじであって欲しい」、あぁ〜分かる分かる分かる。老犬を飼っている僕もまさに同じ気持ちだ。いや、だけどさ、この気持ちの変化ってすごいことではないのか!!!!!!動物好きの皆さん必読の1冊! ◆DATA 角田光代「明日も一日きみを見てる」(KADOKAWA)

 

◯勝手に帯コピー(僕が考えた帯のコピー、引用も)