ううむ、これもまたおもしろいっ!しおたにまみこ、いいなぁ。ブラチスラバ世界絵本原画展で金牌を取った「たまごのはなし」に続くはなしシリーズ?の第2弾!まず登場するのが「たまごのはなし」の主人公、あのエラソーなたまごなので、おぉぉ!と思う。たまごは前説的に登場して、キッチンで「いちじくのおはなしかい」の張り紙を見つけ参加したことを話す。たまご、相変わらずいいキャラだ。
さて、そのお話し会、なんといっても主人公のいちじくがいい。木炭鉛筆等で描かれた絶妙な色使いの主人公。その表情の豊かさ!おもしろさ!絵だけ見ていてもまったく見飽きないのがしおたにまみこの絵のすごいところだ。
物語は「まだ わかく あまみも うすかったころ」にあてどもない旅に出たいちじくの冒険譚が語られる。甘い香り好きで果物たちを追いかけ回し苦しめていた大きなハエをやっつけたり、王様から頼まれたお宝「オレンジのなみだ」奪還のためにレモンの海賊たちと戦ったり。どの話もしおたにまみこタッチの絵がいいし、いちじくの話に聞き入るたまごやマシュマロ、はっかあめたちの様子が楽しい。
で、このいちじくの話をたまごは疑っている。「いったい どこまでが ほんとう なんだろう?」。そして、最後の話「キッチンでおきたこと」へ。エンディングで起こったホラ話疑惑に答えるいちじくのコメントがいいし、そこで「芸術家」と「批評家」なんて言葉が飛び出すのもおもしろい。前回ほどは深い話ではない気がするけど、しおたにまみこはやっぱりちょっとディープなのだ。そのディープさを隠し持ってる感じが僕はすごく好き。もちろん、次作にも期待です。