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【新書/書評】近田春夫「グループサウンズ」ーいやぁこれはスゴい!初めてGSの時代を俯瞰した気分になった


 これはグループサウンズが身近にあった人間にとってはいろいろな意味で目からウロコの1冊だ。まぁGS全盛の頃、僕は中学生なのだから芸能界の裏側のことは知らなくて当然だ。近田さんはすでにミュージシャンでその渦中にいた人だから業界や業界人、さらにはその裏事情にも通じているからそういう話がボロボロ出てきちゃう。しかしなぁ…それにしてもなぁ。知らんぞ、そんなこと!!!

 全体は2部に分かれている。1部ではスパイダース、ブルー・コメッツ、ザ・タイガースなど9つの有名バンドについてGSにも詳しいライターの下井草秀さんが近田さんに話を聞く。さらに他の忘れがたいバンドについてとGSの終焉も語られている。2部は近田さんと元タイガースの瞳みのる、元ゴールデン・カップスのエディ藩との鼎談。さらにGS時代の代表的な作曲家・鈴木邦彦との対談。最後に近田春夫と下井草秀それぞれが選んだGS10曲が紹介されている。

 

 スパイダースの田辺昭知のドラミングの話とか笑っちゃうし、ブルコメのロックへの執着のなさとかの話、いろんな作曲家・作詞家の話も絡んできてとにかくおもしろい。岸部シローはもう少し評価されていいんじゃないかとか、テンプターズに「ここから日本のロックが始まる」と確信したとか、その時現場にいた人間じゃないと分からないことが書かれていて、ううむ、という感じ。

 

 GSの隆盛期って昭和41年(1966)~昭和45年(1970)の5年間だったというのも衝撃だったけれど長持ちしなかった理由が彼らにとって「音楽はワン・オブ・ゼムだった」というのも、ええ〜っ!!て感じでビックリした。2部の鼎談はさらにディープでそんなこと知らないよ、って話ばかり。個人的には初めてGSの時代を俯瞰した気分になった。あぁ〜おもしろかった!!
◆DATA 近田春夫「グループサウンズ」(文春新書)

◯勝手に帯コピー(僕が考えた帯のコピー、引用も)