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【絵本/感想】桃山鈴子「へんしん すがたをかえるイモムシ」ー見よ!昆虫画家の絵を!3種の蝶の産卵から羽化まで、美しい変化を描いた稀有な絵本


 ブラチスラバ世界絵本原画展という国際的な絵本原画コンクールの出展作品に選ばれた10点のうちの1つ。表紙を見てこれはちょっと読んでみたいと思い手に取った。プロフィールを見ると、作者の桃山さんは「昆虫画家」らしい。昆虫画家!おぉぉ!「わたしはイモムシ」という画集も出しているようなのでこれもぜひ見てみたい。

 副題でわかる通り、これは蝶の変態の様子を描いた絵本だ。モンシロチョウ、ナミアゲハ、ウラギンシジミ、3種の蝶の産卵からふ化、脱皮、蛹化、羽化までが描かれている。とにかくこの絵本、桃山さんの絵が素晴らしい。点描的な繊細な技法で描かれたその絵は一つ一つが美しく見飽きることがない。どの絵もいいのだけど個人的には、サナギが透けて見えるところ、そこから羽化するところが美しく何度も見てしまった。イモムシも美しい。苦手な人もこれならまぁ大丈夫。ある意味、日本画的でもあるから国際的な原画展なら有利ではないか。何か賞を取れるといいのだけど。

 

 これ、3種の蝶はそれぞれ過程が違うので比較するのもいいのだけど、「絵本」として考えるのならば、もう少し物語性を膨らませて1種類に絞ってもよかったように思う。巻末に監修者による昆虫の脱皮と変態に関する詳しい解説が付いている。
◆DATA 桃山鈴子「へんしん すがたをかえるイモムシ」(福音館)

 

◯勝手に帯コピー(僕が考えた帯のコピー、引用も)

ここでしか見られない

蝶たちの美しい変身の姿がある。

 

◯「わたしはイモムシ」はこちら