う〜ん、これはショック。あまりに早すぎる。まだまだ伊集院静らしい物語を読みたかった。それにしても74歳とは…。もう少し上じゃなかったのか?この人はもう30代ぐらいから本物の大人で男だったからなぁ。だいぶ上だと思っていたが。
どの辺りから彼の小説を読み始めたかは覚えてない。本棚には「乳房」や直木賞を受賞した「受け月」などもあるから最初から読んでいたことは確か。ただ伊集院静という少し甘やかな名前に抵抗があったことも覚えている。で、初期の傑作といえば間違いなく「海峡」だろう。「春雷」「岬へ」と続く自伝的三部作。これは本当にグイグイと力強い物語で、彼の作家としての力量を思い知った3冊だ。もし、伊集院さんの小説を読んだことがない人がいるなら「海峡」三部作をまず最初に勧めたい。
文学者の人生を鮮やかに描いた小説たちも忘れがたい。「小説 正岡子規と夏目漱石」と副題がついた「ノボさん」、漱石を描いた「ミチクサ先生」、妻を亡くし失意の伊集院と色川武大(阿佐田哲也)との交流を描いた「いねむり先生」、どれもが傑作だ。彼は大学まで野球をやっていたこともありスポーツに対して一家言あったが松井秀喜について書いた「逆風に立つ」も忘れられない。男が男に惚れる、とはまさにこのこと。
彼はCMディレクターとしても様々な実績を残しているが、忘れてならないのが作詞家・伊達歩としての活躍だ。特に近藤真彦の「愚か者」「ギンギラギンにさりげなく」は伊集院静らしさが横溢する傑作だと思う。
彼の作品リストを見ていると読んでない小説もまだまだある。少しずつ読んでいってみようかな。それが僕の伊集院さんへの追悼!
◯「海峡」三部作の僕の書評はこちら!
◯「ノボさん」の僕の書評はこちら!
◯「ミチクサ先生」の僕の書評はこちら!
◯「いねむり先生」の僕の書評はこちら!
◯「逆風に立つ」の僕の書評はこちら!
◯「ギンギラギンにさりげなく」の歌詞はこちらから
◯「愚か者」の歌詞はこちら!