成瀬シリーズ3冊目で完結編。1冊目「成瀬は天下を取りにいく」は西武大津店閉店という事件?!を軸に成瀬たちの奮闘を描いた本屋大賞受賞作。2冊目「成瀬は信じた道をいく」は成瀬の大学受験前後の話をまとめたもので個人的には1冊目よりも随分とおもしろかった。で、この最終巻は京都大学入学後の成瀬の話、全6編からなっている。
1・2冊目同様、いろいろな人間が語り手になり、成瀬の人間像を浮き彫りにしていくスタイル。大学に行っても成瀬は成瀬!あのクールでマイペースな生き方は健在だ。1話目は好きな人と同じ京大をめざし、合格したのに彼は東大に行っちゃった坪井さんが語り手。失恋から立ち直れない彼女に成瀬はやさしく手を差し伸べる。この1冊のテーマ的なことになると思うのだが成瀬あかりの「あかり」は『まわりを明るく照らす子になるように』という願いを込めて名付けられたという。結局、ここに出てくる語り手たちは「みんな成瀬に照らされている」のだ。
一番いいのが最終話。語り手は成瀬の幼馴染で漫才コンビ「ゼゼカラ」の相方だった島崎みゆきだ。びわ湖大津観光大使の最後の仕事としてびわ湖疏水船などで大津観光をアピールするはずだった成瀬。彼女が急病で島崎に助けを求める展開がいいし、京都から大津港までの疏水の旅がとてもいい。そして、大団円!成瀬の存在の大切さを身に沁みて感じるみゆき。これは2冊目のラストに通じるものがある。いいな。
で、本当に完結編?いやいやいや、終わらないでしょ。成瀬は二百歳まで生きるんだし、「大津にデパートを建てる」という夢だってある。何年後かに続編出ますよ。うむ。期待! ◆DATA 宮島未奈「成瀬は都を駆け抜ける」(新潮社)
◯勝手に帯コピー(僕が考えた帯のコピー、引用も)