また、本の話をしてる

おすすめ本の紹介や書評、新刊案内など、本関連の最新ニュースを中心にお届けします。

【コミック/感想】谷口ジロー「父の暦」-良質な文学作品のような父と息子の物語

 谷口ジローさんが亡くなったショックはまだまだ続いているけれど、未読の本がけっこうあるので少しずつ読んでいきたいと思っている。そこで、最初に手に取ったのがこの「父の暦」。自伝的な物語ではないのだが、谷口さんが自らの故郷である鳥取を舞台に父と息子の話を描いた作品ということで俄然読みたくなった。これを最高傑作という人もいた。


 物語は故郷に住む父の死から始まる。幼い頃に父は母と別れ、主人公である陽一と姉を男手ひとつで育ててきた。しかし、陽一は父のせいで母が家を出たと信じており、わだかまりが解けないまま東京に出てきた。ほとんど帰省もせずにいた陽一なのだが、お通夜に遅れてやってきた彼に故郷の人々はやさしい。そこで、大介という伯父さんや姉たちが語る昔語り。初めて聞かされる父と母との真実。その発端となった鳥取大火のこと。寡黙であまり話すこともなかった父の思い。陽一は自らの愚かさを知り、打ちのめされる。


 これは普遍的ともいえる父と息子の物語だ。子を思わない親はいない。しかし、ひとつの誤解で父子の関係は崩れ、子供が親の思いに気がつくのはずっとずっとあとのことになる。良質な文学作品のような一編。やはり、谷口ジローはすばらしい。

 

◯谷口ジローさんの他の作品の書評はこちら


 2017.3.31 さてさて3月も今日で終わり。プロ野球も開幕。読書は村上春樹「騎士団長殺し 第一部」。騎士団長、出てきた。

 

【書評ランキングに参加中】

ランキングに参加中。押していただけるとうれしいです。

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ

 

【BOOK NEWS】MUJIBOOKSから文庫本シリーズ、柳宗悦、花森安治、小津安二郎!

f:id:okuu:20170329084057j:plain

 

 そうか、無印良品は大型店舗で書籍を紹介・販売する「MUJIBOOKS」というのを展開してるんだな。そんな無印が5月1日からスタートさせるのが文庫本シリーズの「MUJIBOOKS文庫本 人と物」。

 

 第一回目が「柳宗悦」「花森安治」「小津安二郎」というなかなか気になるラインナップ。展開店舗とネットストアで5月1日から販売開始です。

 

続きを読む

【新刊案内】出る本、出た本、気になる新刊!  (2017.3/5週)

 さて、出る本。桐野夏生「夜の谷を行く」(3/31)出ます。その昔、連合赤軍の「総括」から逃げ出したメンバーの1人が主人公。「桐野夏生が挑む、連合赤軍の真実」。ううむ、ちょっと恐いけど読んでみたい。

 

 雑誌「Number」の最新号(3/30)はWBC特集。日本代表、準決勝で負けましたががんばりましたよね。そして、いよいよ球春到来!楽しみです。

 

続きを読む

【絵本】「リンドバーグ」のトーベン・クールマン、新作「アームストロング」4月発売!

 旧ブログで書評を載せた絵本「リンドバーグ:空飛ぶネズミの大冒険」、作家のトーベン・クールマンはこの絵本を大学卒業時に完成させたというから本当にビックリした。絵が巧いし、物語もまさにオリジナルなもので、とんでもない才能を感じたものです。

 

 で、新作です。「アームストロング:宙飛ぶネズミの大冒険」、4月15日に発売になります。ま、タイトル見るだけで分かりますが、またまたあのネズミが登場するんですね。しかも「空飛ぶ」が「宙飛ぶ」になってる。ふふふふふ、これはもうすご〜〜く楽しみ。前作を読んでない人はぜひぜひ読んでみてください。絵本といってもバカにできませんよ。いや、ホント!

 

◯You Tubeに予告が


続きを読む

【BOOK NEWS】又吉直樹「劇場」5月11日発売決定。予約もスタート!

 さて、又吉直樹の新作「劇場」の発売日が決まりました。僕は文芸誌で小説を読むということをしないので、同作が掲載された「新潮」は読んでません。

 

 ただ、ネットでの評判はいいようですし、このブログでも紹介した「NHKスペシャル 又吉直樹 第二作への苦闘」を見て、すご〜く読みたくなってます。見た人も多いと思いますが、あれを見ると又吉直樹という人間の真摯さがよくわかるし、小説に向かう態度もすごいです。「新潮」の編集長がその才能に驚いていたことも印象的でした。

 

続きを読む

【映像化】ようやく正式発表!岡崎京子「リバーズ・エッジ」映画化!二階堂ふみ✕吉沢亮

 このブログの「注目記事」でずっと一番だったのが「リバーズ・エッジ」映画化のニュースでした。エキストラ募集の情報から少しだけTwitterに流れたのを2月の初めに載せたのですが、ようやく正式な発表がありました。

 

 主人公の若草ハルナは二階堂ふみ、そして山田一郎役が吉沢亮、監督は既報通り行定勲です。そうか「若手実力ナンバー・ワン女優」は二階堂ふみだったのね。広瀬すずやのんさんじゃなかったのね。2018年全国公開予定、とにかく期待しましょう。

 

続きを読む

【新刊案内】出る本、出た本、気になる新刊!  (2017.3/4週)

 では、出た本。ダイヤモンド社から出た「週刊文春 編集長の仕事術」が気になる。人脈、企画、交渉、組織、決断、戦略など現役編集長がその裏側を全公開。ううむ、ちょっと読みたいぞ。

 

 のん(能年玲奈)さんの「創作あーちすとNON」も出ましたよ。そうか、あーちすと、なのね。桃井かおり、清水ミチコ、矢野顕子、いのうえひでのりとの対談も収録されてます。

 

 梅佳代の写真集はちゃんとチェックしておきたい私。「ナスカイ」出てました。タイトルが意味不明ですが全寮制の中高一貫男子校である那須高原海城中学・高等学校のことらしい。なんだかいろいろドラマがあったのね。キャンパスノートを模した表紙がなかなか。

 

続きを読む