また、本の話をしてる

おすすめ本の紹介や書評、新刊案内など、本関連の最新ニュースを中心にお届けします。

■は行の作家

【書評】早見和真「八月の母」ー美智子、エリカ、陽向、三世代の母と娘の物語。呪縛のように地元に縛られ、母親に縛られ生きている彼女たちの未来は?

八月の母 posted with ヨメレバ 早見 和真 KADOKAWA 2022年04月04日頃 売り上げランキング : 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す この小説については当ブログでもすでに2度ぐらい書いている。「本の雑誌」の上半期ベストテン、本来ならこれが1…

【書評】原田マハ「リボルバー」-やっぱり原田マハのアート小説はいい。ゴッホを撃ち抜いた?リボルバーをめぐる物語

リボルバー posted with ヨメレバ 原田 マハ 幻冬舎 2021年05月26日頃 売り上げランキング : 楽天ブックスで探す 楽天koboで探す Amazonで探す Kindleで探す 原田マハのアート小説は大好きだし、構成も巧みで読ませる。史実と虚構を綯い交ぜにする手法には批…

【書評】馳星周「少年と犬」-今年度上半期直木賞受賞作!その犬は人との出会いを繰り返しながら、どこか遠くをめざしていた

少年と犬 posted with ヨメレバ 馳 星周 文藝春秋 2020年05月15日頃 売り上げランキング : 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す 今年上半期の直木賞受賞作。これはもう文句なしの傑作だ。作者は犬好きで「ソウルメイト」など犬と人との関係を描い…

【書評】原田マハ「美しき愚かものたちのタブロー 」-国立西洋美術館が誇る松方コレクションの数奇な運命を辿る物語

これは上野にある国立西洋美術館のコレクションの基礎となっている松方コレクションとそれを集めた「こよなく絵画(タブロー)を愛した稀代のコレクター」松方幸次郎の物語だ。話の舞台になるのは2つの時代。1つは日本を代表する美術史家・田代雄一が第二…

【書評】原田ひ香「DRY」- 境遇の似た2人の女の悲しみ。その悲しみはあまりに深く、あまりに切ない

DRY posted with ヨメレバ 原田ひ香 光文社 2019年01月23日 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す ちょうど真ん中あたりか、「そのこと」が分かった時に、思わず声が出た。これって原田ひ香の小説だよねぇ…。ううううううむ、驚いた。作者初のクラ…

【書評】原田マハ「常設展示室」-巧いなぁ!原田マハの作家としての成熟を感じさせる短編集

常設展示室 posted with ヨメレバ 原田 マハ 新潮社 2018年11月22日 楽天ブックスで探す Amazonで探す まず最初に軽く裏切られる。タイトルから常設展示されている絵にまつわる短編集かと思ったのだがそんなことはなかった。ま、それはある意味どうでもいい…

【書評】保坂和志「ハレルヤ」-あぁ、花ちゃん!最後に残るのは不思議なほどの多幸感だ

ハレルヤ posted with ヨメレバ 保坂 和志 新潮社 2018年07月31日 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す 作者のことは知っていたし、おもしろそうな作家だなとは思っていた。でも、出会いはなかなか訪れず(読みたい!と強く思うきっかけがないと読…

【書評】原田マハ「たゆたえども沈まず」-この物語の真ん中には常にゴッホがいる

たゆたえども沈まず posted with ヨメレバ 原田 マハ 幻冬舎 2017-10-25 Amazon Kindle 楽天ブックス 「たゆたえども沈まず」という小説はけっしてフィンセント・ファン・ゴッホの物語ではない。日本美術を世界に知らしめようとパリで孤軍奮闘する日本人、林…

【BOOK NEWS】「Casa BRUTUS」特別編集「音のいい部屋。」外伝で村上春樹のレコードディガーぶりを紹介!

Casa BRUTUS特別編集 音のいい部屋 (マガジンハウスムック CASA BRUTUS) posted with ヨメレバ マガジンハウス マガジンハウス 2017-11-15 Amazon 楽天ブックス ちょっと遅い話題ですみません。「Casa BRUTUS」の特別編集のムックで「音のいい部屋。」という…

【書評】ビートたけし「アナログ」-あの「懐かしい愛」をもう一度!

アナログ posted with ヨメレバ ビートたけし 新潮社 2017-09-22 Amazon Kindle 楽天ブックス この物語は驚くほど昭和だ。主人公の悟は工業デザインの会社で働いている現代の青年。だから、決して古い人間ではないのだけど、生き方も暮らしぶりもデジタルで…

【書評】原田マハ「アノニム」-ジャクソン・ポロック幻の傑作がオークションに。落札からの展開にドキドキ!

アノニム posted with ヨメレバ 原田 マハ KADOKAWA 2017年06月02日 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す 「楽園のカンヴァス」「暗幕のゲルニカ」に連なる原田マハのアート・エンタテインメント。今回はモダンアートの天才ジャクソン・ポロックの…

【書評】原田マハ「リーチ先生」-これは芸術を志す名も無き人へのエールでもある

リーチ先生 posted with ヨメレバ 原田 マハ 集英社 2016年10月26日 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す 原田マハはこの物語で小説家としてさらに大きく成長した。「本日は、お日柄もよく」のようなちょっと軽めの現代小説が書けて「楽園のカンヴ…

【映像化】誉田哲也「プラージュ」、星野源主演でWOWOWで今夏ドラマ化!

プラージュ posted with ヨメレバ 誉田哲也 幻冬舎 2015年09月 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す 誉田哲也のミステリー「プラージュ」がこの夏WOWOWで連続ドラマになります。前科者など訳アリの厄介者たちが集まるシェアハウスを舞台にした再生…

【書評】原田マハ「本日は、お日柄もよく」-折々のスピーチが主人公の仕事を見事に浮き彫りに!

本日は、お日柄もよく posted with ヨメレバ 原田マハ 徳間書店 2013年06月 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す 昨年末買ったこの小説の文庫の帯には30万部突破と書いてあった。調べてみると、単行本は2010年8月の発売で1万部。2013年に文庫化…

【BOOK NEWS】原田マハさんの仕事-アート小説連載2題

原田マハさんのアート小説が好きで必ず読んでいます。去年の「暗幕のゲルニカ」はマイベストの7位に入りました。とはいっても、けっこう刊行ペースが早い人なので、バーナード・リーチを主人公にした「リーチ先生」と「デトロイト美術館の奇跡」はまだ読ん…

【映像化】WOWOW連続ドラマWで原田マハ「本日は、お日柄もよく」と宮部みゆき「楽園」、来年1月から

原田マハの「本日は、お日柄もよく」はロングセラーになってますね。累計30万部というからスゴイ。僕は彼女のアート小説はよく読むのですが、これは未読。文庫になって本屋さんでも目立つところに置いてあるので、読んでみようかなぁ、という気になっていた…

【書評】ひこ・田中「ハルとカナ」-たくさんの「初めての気持ち」を描いて心揺さぶられる物語

いやいやいや、これは傑作だ。大好きなヨシタケシンスケが表紙と挿絵を描いているので読んだのだが、こんな作品を書くひこ・田中という人を知らなかった不明を恥じている。相米慎二監督が映画化した「お引越し」は彼の作品だ。同じく映画化された「ごめん」…

【書評】原田マハ「暗幕のゲルニカ」-アートの力とそれを信じる人々の力を描いた傑作!

暗幕のゲルニカ posted with ヨメレバ 原田マハ 新潮社 2016年03月28日 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す 名画「ゲルニカ」を巡る2つの物語。1つはピカソが「ゲルニカ」を生み出す物語。そして、もう1つは9.11で夫を亡くしたMoMA(ニューヨ…

【書評】東山彰良「流」-フツーにおもしろい小説だ。それ以上でも以下でもない。

流 posted with ヨメレバ 東山 彰良 講談社 2015年05月13日 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す これはフツーにおもしろい小説である。「二十年に一度の傑作(北方謙三)」でも何でもないし「十五年間で一番幸せな選考会でした(林真理子)」なん…

【書評】原田マハ「モダン」-福島とワイエスの絵をシンクロさせた冒頭作の素晴らしさ!

モダン posted with ヨメレバ 原田 マハ 文藝春秋 2015年04月13日 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す 表紙には「モダン」というタイトルと共に「The Modern」という英語表記がされている。「The Modern」とはMoMA=ニューヨーク近代美術館のこと…

【書評】原田マハ「太陽の棘」-戦後すぐの沖縄、画家たちと従軍医の運命の出会いがあった

太陽の棘 posted with ヨメレバ 原田 マハ 文藝春秋 2014年04月 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す キュレーターであった原田マハの「絵」をテーマにした物語はいつも興味深い。「太陽の棘」は戦後の沖縄にあった美術村の作家たちとその絵に魅せ…

【書評】原田マハ「翔ぶ少女」-生き抜くことを選んだ少女のやさしく力強い再生の物語

翔ぶ少女 posted with ヨメレバ 原田マハ ポプラ社 2014年01月10日 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す 夢の様な現実のような心がフワッとするような導入部。しかし、そのやさしい気分は一瞬のうちに破られてしまう。これは神戸の震災でパン屋を…

【書評】馳星周「ソウルメイト」-これは人と犬との深い絆を描いた物語

ソウルメイト posted with ヨメレバ 馳星周 集英社 2013年06月 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す 登場する犬の名を付けた7つの物語からなる短編小説集だ。チワワ、ボルゾイ、柴、ウェルシュ・コーギー・ペンブローク、ジャーマン・シェパード…

【書評】原田マハ「ジヴェルニーの食卓」-画家たちの側にいた誇り高き女性たちを描いた見事な作品集

ジヴェルニーの食卓 posted with ヨメレバ 原田マハ 集英社 2013年03月 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す 「楽園のカンヴァス」で山本周五郎賞を受賞した原田マハ。ニューヨーク近代美術館に勤務し、キュレーターでもあった彼女がまた絵と画家…

【書評】原田ひ香「母親ウエスタン」-いやいやいや、これはとんでもない!

母親ウエスタン posted with ヨメレバ 原田ひ香 光文社 2012年09月 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す いやいやいやぁ、これはおもしろいなぁ。こういう小説を書く女性作家がいることに僕は喜びを感じる。素晴らしい!とはいえ、この小説、いっ…

【書評】原田マハ「楽園のカンヴァス」-知的好奇心をくすぐる見事なアート小説!

楽園のカンヴァス posted with ヨメレバ 原田マハ 新潮社 2012年01月 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す 直木賞候補にもなった。アートを題材にしたこの作品はニューヨーク近代美術館勤務の経験があり、フリーのキュレーターでもあった作者が初…

【書評】古川日出男「ベルガ、吠えないのか?」戦争の世紀=20世紀を犬たちの生涯と重ね合わせる一大クロニクル

< ベルカ、吠えないのか? posted with ヨメレバ 古川 日出男 文藝春秋 2008年05月09日 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す 職業柄なのか本のタイトルには敏感に反応してしまう。書名がいいだけで、これはひょっとして、と思ってしまうのだ。古川…