また、本の話をしてる

おすすめ本の紹介や書評、新刊案内など、本関連の最新ニュースを中心にお届けします。

■か行の作家-川上弘美

【書評】川上弘美「恋ははかない、あるいは、プールの底のステーキ」ー幼い頃カリフォルニアで共に過ごした友だちと60代になって再会した。

恋ははかない、あるいは、プールの底のステーキ posted with ヨメレバ 川上 弘美 講談社 2023年08月24日 売り上げランキング : 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す 17の章に分かれた長編小説。淡々としたタッチで描かれるストーリーは、読む者の…

【書評】川上弘美「三度目の恋」-これは今年のベスト候補!江戸吉原へ、平安の世へ、主人公・梨子は恋の旅に出る

三度目の恋 posted with ヨメレバ 川上 弘美 中央公論新社 2020年09月23日頃 売り上げランキング : 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す ううむ、これは今年のベスト候補かもしれない。ただ、この小説、書評を書くのが難しい。あまり言っちゃうと…

【書評】川上弘美「某」-名前も年齢も性別も分からない「誰でもない者」はいったいどこに向かうのだろう?

某 posted with ヨメレバ 川上弘美 幻冬舎 2019年09月 楽天ブックス Amazon Kindle 人間が書いているのだから最終的には人間のことを書いているのに違いないのだけど、どこかでそう言うことではないのでないかと思ったりする。そこが川上弘美の物語のおもし…

【書評】川上弘美「森へ行きましょう」-人間が愛おしく、人生がさらに興味深くなる。今年のマイベストに入る傑作!

森へ行きましょう posted with ヨメレバ 川上 弘美 日本経済新聞出版社 2017-10-11 Amazon 楽天ブックス これはもう圧倒的なおもしろさ!今年のマイベスト上位に必ず入る傑作だ。1966年に生まれた留津とルツの物語が交互に語られる。2人は両親の名も同じ、…

【書評】川上弘美「大きな鳥にさらわれないよう」-地球の歴史を俯瞰しているような深くて大きな物語

連作短編ということでいいのだろうか。それぞれの物語はゆるやかに、しかし、緊密につながっている。この星の遠い遠い未来に始まって、さらに遠い遠い未来で終わる物語。人間由来よりも鼠由来やカンガルー由来、イルカ由来の子供たちが数多く工場で作られて…

【文学賞】泉鏡花文学賞に川上弘美「大きな鳥にさらわれないよう」

ふふふ、ちょうど昨日から読み始めたところでこのニュースはとてもうれしい。けっこう好評でしたからね。ボブ・ディラン、ノーベル文学賞も驚きだったけれど、川上弘美が泉鏡花文学賞、というのもかなりな出来事。っていうか、もっと前にとってもよかったの…

【書評】川上弘美「水声」-家族とは?という問いと人ひとりの孤独の深さ

水声 posted with ヨメレバ 川上 弘美 文藝春秋 2014年09月30日 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す 様々な思いが立ち上ってくる不思議な小説だ。主人公である都がママが死んでから10年間無人だった家に弟の陵と戻って来るところから物語は始まる…

【書評】川上弘美「神様 2011」-「あのこと」を経験した後の私たちの物語

神様 2011 posted with ヨメレバ 川上 弘美 講談社 2011年09月21日 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す 川上弘美の話題作であり、問題作。「神様」と「神様 2011」が収録されている。「神様」は1994年にパスカル短篇文学新人賞を取った彼女のデビ…

【書評】川上弘美「天頂より少し下って」-「女性としての人生」がほんわかと垣間見えて来る7編の短篇集

天頂より少し下って posted with ヨメレバ 川上弘美 小学館 2011年05月 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す 川上弘美の小説は地表から5cmぐらい浮かび上がっている。浮かび上がってはいるが、けっして地表とつながってないわけではない。浮かん…

【書評】川上弘美「神様」-魂が浮き上がるような不思議な読後感

神様 posted with ヨメレバ 川上弘美 中央公論新社 2001年10月25日 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す かなり前、たぶんこの本が単行本で出た頃、評論家の小谷野敦が「理性がまひする面白さ」とこの小説のことを誉めていた。ふ~~~~ん、と思…

【書評】川上弘美の「風花」-ひとりの女性の魂の彷徨をしっかりと描く

風花 posted with ヨメレバ 川上弘美 集英社 2008年04月 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す 「真鶴」みたいなどこかとんでもないところに連れていってくれる小説もいいが、川上弘美はリアルな恋愛小説もまたいい。匿名の電話で夫の浮気を知らさ…

【書評】川上弘美「古道具 中野商店」-せつなくもおかしい3つの恋模様

古道具中野商店 posted with ヨメレバ 川上弘美 新潮社 2008年03月 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す 川上弘美の小説にはいくつかスタイルがあるのだが、これは「センセイの鞄」に近いスタイル。個人的には非常に好きな世界だ。舞台は東京の西…

【書評】川上弘美「どこから行っても遠い町」-平凡さの中に危うさが漂う。登場人物のダブらせ方が巧みな連作短編集

どこから行っても遠い町 posted with ヨメレバ 川上弘美 新潮社 2008年11月 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す 連作短篇といってもその「連なり」にはいろいろなスタイルがある。川上弘美のこの小説は東京にある小さな商店街が舞台、そこに住ん…

【書評】川上弘美「夜の公園」-恋愛のドロドロではなく、心の襞の細部までしっかりと描く

夜の公園 posted with ヨメレバ 川上弘美 中央公論新社 2009年04月25日 楽天ブックスで探す Amazonで探す Kindleで探す 川上弘美の恋愛小説と言えば、ちょっと斜めな感じのシチュエーションが多く、それがなかなか良かったりするのだけど、「夜の公園」はち…

【書評】川上弘美「これでよろしくて?」-人間関係の中で感じる「小さな戸惑い」、それって全然OKなのよ

これでよろしくて? posted with ヨメレバ 川上 弘美 中央公論新社 2009-09 Amazon 楽天ブックス 昨秋出た本なのですが、なんだか軽い感じなのでスルーしちゃった人も多いかもしれませんね。でもこの川上弘美の小説、意外や意外の大傑作。いやぁ~驚いた。小…