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【アンソロジー/書評】北村薫・宮部みゆき編「名短篇、ここにあり」-完成度より奇妙な味を優先、うれしいなぁ

 希代の本読みである北村薫と宮部みゆきが選んだ12のおすすめ短篇、となると読まないわけにはいかない。アンソロジーの楽しみといえば読んだことのない作家の小説が読めることだが、ラインナップを見ればそれにも十分に応えてくれそうだ。

 

 さて、普通「名短篇」というと、なんというか、短くてもワザ!って感じで見事にまとめられた小説が選ばれそうだが、この2人のセレクトはちょっと違う。完成度というよりおもしろさ、おもしろさというより奇妙な味の方が優先されているようで、ちょっとうれしくなってしまう。

 

 個人的に一番好きなのは黒井千次の「冷たい仕事」。冷蔵庫の霜取りにいい男二人が夢中になってしまう話、それも出張先の旅館で!霜取りの快感を知ってる人にはしびれる話だ。半村良の「となりの宇宙人」。SFの大家がどんな話かと思ったら、宇宙人と町の人々とのやり取りが落語の人情噺になっていて、なんともおかしい。城山三郎「隠し芸の男」はサラリーマンの悲哀を描いてる作品だがラストがなんとも恐い。え~こんなのヤだよぉ。吉村昭「少女架刑」はたぶん一生忘れない。だって…。

 

 他にも、吉行淳之介、山口瞳、戸板康二、松本清張、井上靖、小松左京の傑作がズラリ。続編「名短篇、さらにあり」も当然読むべし。

 

2010.7.14 さてさて、そろそろ梅雨明けか。夏になると犬の散歩やら草屋根の水やりやらいろいろと悩みが多い。ノーエアコンなので、ま、暑いし。こういう時には本でも読んで、というわけにもいかないしなぁ。

 

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