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【書評】ジェフリー・ディーヴァー「ロードサイド・クロス」-彼の小説には「深読みする愉しさ」がある!

 ミステリーベスト10の常連ジェフリー・ディーヴァーの最新作「ロードサイド・クロス」を読んだ。人間ウソ発見器とも呼ばれるキャサリン・ダンスを主人公にしたシリーズ2作目だ。ディーヴァーは「ソウル・コレクター」などでもネット社会の危うさをテーマにして来たが、この小説もまたブログやオンラインゲームなどが登場し、現実世界と仮想世界との境界がどんどん曖昧になっている現状を僕らに突きつけて来る。もちろん、そういう話だからこそ読む側もググッとのめり込んでしまう。

 

 交通事故の犯人として有名ブログでやり玉にあがった高校生トラヴィス、次々寄せられるコメントはエスカレートし、それはまさにいじめの様相を呈して来る。そんな折も折、ネットで彼をチクった少女たちが襲われ、失踪したトラヴィスが疑われ捜査が始まる。追うキャサリン・ダンス。少年が熱中したオンラインゲームでダンスのアバターと少年のアバターが出会うあたりから物語は熱を帯びて来る。さらに後半にはそのゲームの中で少年が作った「ホーム」を訪ねる場面もあり、ここの描写も魅力的だ。

 

 ネット社会の危うさを採り上げた社会性と一級エンターテイメントとしてのおもしろさを融合させたディーヴァー。終盤は彼お得意のどんでん返し!そうなることがわかってるので読む側は「あのいい人はもしかしたら悪い人じゃないかしらん??」などと深読みしてしまう。「深読みさせるおもしろさ」っていうのもこの人の物語にはあるのだ。とにもかくにもディーヴァーのパワーはまだまだ衰えそうにない。読み終えた途端に次を期待してるのは僕だけだろうか。

 

◎「ロードサイド・クロス」は2013年11月、文春文庫で文庫化されました。

2011.1.9 いやぁ寒いな、今週は寒い日が続くらしい。暑いのと寒いのとだったら絶対暑い方!などと去年の猛暑など忘れて断言しちゃうワタシなのである。あぁぁ、早く春が…いや、春になったら超花粉症が…。

 

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