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【エッセイ/書評】木皿泉「二度寝で番茶」-このおっちゃんおばちゃんコンビが何であんなにステキなドラマを作れるのか

 木皿泉、脚本家である。木皿氏が手がけた作品、「やっぱり猫が好き」「すいか」「野ブタ。をプロデュース」「セクシーボイスアンドロボ」「Q10」、どれもすごくおもしろかったし、深く心に残る作品だった。昨秋のドラマ「Q10」はロボットという異端のものを登場させることで青春の危うさを際立たせていて素晴らしい。1話1話にテーマがあってそれを青春テイストで見事に仕上げている。

 

 そんな、木皿氏の初エッセイとならば読まないわけにはいかない。あ、「木皿氏」などと書いたが、実はこれ夫婦2人のペンネーム。なんとドラマは共作だったのだ。この本の中で大福とかっぱと呼ばれる2人、さぞやおしゃれな夫婦だろうと思ったら、いやぁ~そこらにいそうな関西のおっちゃんとおばちゃん、って感じ(本に写真はないのでネットで調べた)。あらあらあら~。

 

 ま、それはそれとして「二度寝の番茶」である。これ、めちゃくちゃおもしろい。このおっちゃんおばちゃんコンビが何であんなにステキなドラマを作れるのか、対話形式で書かれたこのエッセイを読めばよくわかるのだ。

 

 本音炸裂で語られるその内容は…たとえば…「(学校に入ったらまず)「友達をいっぱいつくらなきゃダメですよぉ」って、言うでしょう。アレが(いじめの)一番の元凶だと思う」とか「昭和の一家団欒ってほのぼのしてるイメージだけど(中略)いろんなことをぼやかしていたからこそ成り立っていたのかもしれません」とか「よく考えたら教室にいる子供達はみんな寂しいなぁと思えてきて」とか「若い女の子が恋をしたいというのは、自分を変えたいと言っているようにしか、私には聞こえないんですよね」とかとか、示唆に富んだコメントがいっぱい。「わかってる!」人々なのです。木皿ドラマのファンならこれはもう必読の一冊!

 

○木皿泉「二度寝で番茶」は2013年9月、双葉文庫で文庫化されました

2011.1.12 リディア・デイヴィス「話の終わり」を読んでおります。おぉぉぉぉこれは!なんだかすごいなぁ。うむむむむ。

 

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