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【書評】塩田武士「盤上のアルファ」-人生「投了」寸前! 負け犬たちの物語

 さて今年最初の一冊はこれ!「第五回小説現代長編新人賞」を満票で受賞した塩田武士の「盤上のアルファ」だ。今日発売だが読者モニター募集に応募して当選、一足先に読むことができた。

 

 これは将棋の世界を舞台にした2人の負け犬の物語だ。秋葉隼介は性格の悪さが原因で花形である社会部から文化部に回された新聞記者、真田信繁はその悲惨ともいえる生い立ちの中で一時はあきらめたプロ棋士をめざす男だ。どちらも33歳。人生の岐路に立っている。

 

 なんといってもいいのが真田の造形だ。160cmそこそこのチビのくせにやたらと濃い顔で無精髭、坊主頭。いつも変わらぬ色褪せたタンクトップを着ている。こんな男がプロ棋士志望だというのだから何ともおかしい。将棋界のイメージを根底から覆すような奇怪な男が本当にプロになれるのか?家もなければ職もない真田、なんと出会ったばかりの秋葉の家に転がりこむという無法ぶりだ。

 

 文化部記者として将棋の取材を始める秋葉と自信過剰気味の真田。負け犬同士の丁々発止のやりとりがたまらない。そして、この負け犬たちがどれだけ意地を見せるかが、この小説の一番の読みどころだ。真田は年齢制限のない三段リーグ編入試験に挑戦し、プロをめざすという。さて、その挑戦の結果は?そして、秋葉との関係は?ラストにはあのディーヴァーもビックリのどんでん返しまである。

 

 いくら満票での受賞とはいえ、処女作だから欠点も多い。メインといえる真田の登場があまりに遅いこと、秋葉の造形にかなりブレがあることは本当に残念。とはいえ、塩田武士にはかなりの力量を感じる。まずは、この2人の男の物語をもっと読みたい。真田はいったいどんな棋士になるのだろうか?続編をよろしく!!

 

○塩田武士「盤上のアルファ」は2014年2月に講談社文庫から文庫化されました

2011.1.6 元旦の出版社の広告はつまらなかった。すべての新聞広告がパワーのない感じだったけど…。ジェフリー・ディーヴァーの「ロードサイド・クロス」読了間近。

 

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