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【書評】遠田潤子「オブリヴィオン」-一人の男の再生の物語。しかし、それは簡単には完結しない

 「本の雑誌」の昨年12月号で北上次郎氏が激賞していたので、これは読まなければと思っていたら、な、なんと「本の雑誌が選ぶ2017年度ベスト10」の第1位に選ばれてビックリ!急いで手に取った。僕にとってはこれが初めての遠田潤子だ。

 

 物語は「塀の外で俺を待っていたのは二人の兄だった」という印象的なフレーズで始まる。主人公の吉川森二の出所を待ちかまえていたのは、実兄の光一、そしてもう一人は4年前まで義兄だった長嶺圭介だ。森二は自らの妻で圭介の妹だった唯を殺し、出所したところなのだ。二人の兄はどういう仲なのか言葉も交わさない。そして、森二はどちらにも付いて行かない。なんだか胸騒ぎがする始まりだ。

 

  この冒頭では森二と唯の間には冬香という女の子がいて、今は圭介の元にいることも分かる。僕は森二は実は冤罪でここから犯人探しが始まるのかと思ったが、そんな話ではまったくなかった。彼は確かに妻を殺したのだ。では、この後に待ち構えているものは?物語は出所後の森二の暮らしに始まり、バンドネオンを弾く隣の少女沙羅との出会い、娘冬香との再会、森二の持つ「奇跡」の話へとかなりのピッチで進んでいく。さらには、圭介と唯とに出会った過去へ。この出会いが森二にもたらしたもの、そこから生まれた悲劇。物語の後半では様々な驚愕の事実が明らかになっていく。

 

 これは一人の男の再生の物語だ。しかし、その物語は簡単には完結しない。森二は物語を引き継ぎ、次へとバトンタッチすることになる。この着地点がなんとも素晴らしい。遠田潤子、よし!次も必ず読むぞ!!

 

2018.3.31 いつの間にか3月も終わり。後半、いろいろあってモタモタしてしまった。新年度、がんばらなくては。読書は椎名誠「犬から聞いた話をしよう」。

 

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