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【書評】金原ひとみ「ナチュラルボーンチキン」ー主人公は45歳のルーティンゾンビの女性、ホスクラ通いの20代とチキン野郎のバンドマンが彼女を変える!

 

 これ、最後の方でかなりハードな感じになっちゃってちょっと戸惑いがあったのだけど、そこからラストにかけての着地がなんとも見事。金原ひとみ、やっぱスゴいわ。かっけー!

 45歳で見事になにもない「ルーティンで生活をガチガチに固め、孤独かつつまらない生活を送っている」ルーティンゾンビの主人公。彼女・浜野文乃は過去に何かがあってこういう暮らしを続けているようだ。そんな浜野に大きな出会いがある。1人は同じ出版社に勤める後輩の平木直理。在宅勤務を続けながらホスクラに通い詰めている髪をネイビーに染めた20代。彼女の様子を見に行ったばっかりに浜野さんは見事に平木のとんでもない日常に巻き込まれてしまう。平木のキャラ、なかなかだ!

 もう1人は、平木に無理やり連れて行かれたライブで出会ったチキンシンクというバンドのボーカル、保守的なチキン野郎かさましまさか!浜野さんと彼はいつの間にか「お付き合いしていないという体のお付き合い」を始めることになる。この2人の変な相性の良さ、会話のかみ合い具合がおもしろい。「人間に戻った気がする」という浜野さんの不器用な恋模様。これは1人の女性の復活の物語だ。

 ラスト近くで明かされるかつての結婚相手との諸々はある意味すごく怖い。離婚後、浜野さんは10年もの無気力状態に追い込まれたのだ。それにしても、最初に書いたラストの着地の見事さよ!!そうか、そういう出会いがあったのか!!「私が求めていたのは子供じゃなくまさかさん」というフレーズがズキンズキンと心を打つ。

◆DATA 金原ひとみ「ナチュラルボーンチキン」(河出書房新社)

 

◯勝手に帯コピー(僕が考えた帯のコピー、引用も)