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【コミック/感想】リチャード・マグワイア「HERE」-いったいこれは何?コミック?アート?得体の知れない何か?

 いやぁ、ニューイヤー早々、なんだかすごいものに出会った。いったいこれは何だ?コミック?アート?それとも、得体の知れない「何か」?

 

 「HERE ヒア」とタイトルが小さく入った最初の見開きに描かれているのは、淡いトーンの部屋。暖炉とソファだけが置かれている。ソファの後ろに大きな窓がある。左隅に「2014」という数字。次の見開きもトーンは変わらないが、暖炉の横には大きな本棚が。その前にダンボール箱一つ。窓のシェードが半分ほど下りている。そして「家族へ」の文字。「2014」は変わらない。3つ目の見開きは「1957」、淡いが前の2つとは違った紫を基調にした同じ部屋。3つのソファ、ベビーベッドなどなど。

 

 ここまできたら読んでいないあなたも「ハハーン」と思うだろう。僕も思った。「ハハーン、HEREっていうのはこの部屋のことで、この本は過去に戻ったり、未来に飛んだりしながら部屋の変遷を描くのだろう」って。この予想、半分は当たっているが、半分はとてつもなく外れている。「そんなもんじゃない!」。しかし、この「そんなもんじゃなさ」を言葉にするのが難しい。確かに、過去はBCの30億50万年まで遡っちゃうし、未来はACの2万2千175年にまですっ飛んじゃう。しかし、その「振り幅」が「とんでもなさ」ではないのよ。「1953」の見開きは、同じく部屋の風景ではあるけれど、その中に「1988 」の夫婦のウィンドウがあったり、「1623」の鹿が駆けているウィンドウがある。まるでパソコンのマルチウィンドウみたい!それらの登場人物は何見開きか続けて出てきたり、少し経ってから登場したり。その「イメージの連なり」が何だかすごい。

 

  歴史を俯瞰してるとかそういうのではなくて、ヘンな乗り物に乗せられてビュンビュンと飛んでるような。同時に心がグイングインと何かでかき混ぜられてるような。うううむ、とにかくこれは、一つの「体験」なのだ。読んでみなけりゃこの「感じ」は分からない。まいったなぁ、こんなの2016年に出てたなんて。ふぅ…。

 

 2018.1.20 シャンシャンライブ、6番7番のカメラは増えたが、なかなかシャンシャンが見つからない。読書は町田そのこ「夜空に泳ぐチョコレートグラミー」。 

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