ネットで見た表紙の猫の絵に心惹かれて手に取った。いいなぁ、と思ったらこのフワフワとした猫の表現は水墨画だそうだ。巻末のプロフィールにも作者は大学の美術科で日本画を学んだとある。そうかぁ、いいよなぁ、うむ。
元は野良だった大人の猫が家にやって来る。着いた途端にソファの下に隠れたままで出てこない。最初の見開き、心配そうにのぞき込む「わたし」と伏せたままで動かない猫の対比がいい。それからもずっとソファの下から出てこない猫。
元は野良だった大人の猫が家にやって来る。着いた途端にソファの下に隠れたままで出てこない。最初の見開き、心配そうにのぞき込む「わたし」と伏せたままで動かない猫の対比がいい。それからもずっとソファの下から出てこない猫。
ねこと くらして いるのに、ねこと くらして いないみたい。
1ヵ月たったある日、猫は隠れるのをやめて出て来るのだが…。それから後は「わたし」と猫との静かなバトル。ソファの下から出てきても「わたし」を見張り、ちょっと動くと噛みつき、引っかき、逃げていく。それでもしだいしだいに…。後半、猫と「わたし」の関係が少しずつ少しずつ変わっていくところはぜひぜひ見て、読んで、感じて欲しい。春から夏、秋を越えて冬になって…。やわらかくって優しいラストがたまらない。それにしてもこの猫の表情の豊かなこと!高橋さんの絵、大好き!
ところで、この猫、驚くような秘密?があった。このブログでも感想を載せた坂本千明さんの傑作猫絵本「ぼくはいしころ」、そのモデルになった猫が高橋さんちに引き取られて「うちのねこ」になったのだそうだ。もちろん、猫の外見もその表現も絵のタッチも文章のスタイルも違う。でも、一匹の猫から2冊の絵本ができるなんて!すごくすごく素敵じゃないか!!
◆DATA 高橋和枝「うちのねこ」(アリス館)1400円(税別)
◯勝手に帯コピー(僕が考えた帯のコピーです)
ソファの下から心の中へ。
きみはやっと「うちのねこ」に。
◯シノビという名のこの猫について高橋さんが語っています!
そして、もうひとつの「うちのねこ」の物語。坂本千明さん「ぼくはいしころ」!
僕の感想も読んでみてください。