読みたい新書やエッセイがあっても小説先行でどうしても後回しになる。これも話題作で早く読みたかったのだけど読めず、やっと先日読み終わった。「いま、言葉の時代だなと思う」から始まる「はじめに」。うん?と思いながら読み続けていくうちに、今はものを書く時間が人々のあいだで急速に増えていて「書き言葉としての日本語が、一部の人のものから多くの人のものへと解放された」という一文になるほどと思い、今こそ「言葉が生きる力」になるという認識にも深く頷いた。
そんな前提の中で俵さんが語る「現代の言葉にまつわるあれこれ」。最初に語られる息子さんの子育ての話からグイグイと引き込まれていく。時々インサートされる俵さんの短歌がとても効果的だ。さらに、つかこうへいや野田秀樹の演劇の現場での話、韓流ドラマ「愛の不時着」の話、クソリプのこと、マルハラなどハラスメントの話題、界隈の話、ヒコロヒーの小説、河野裕子の恋の歌、「光る君へ」の想い、短歌AIのことなどなどなど、どれもが言葉にまつわるコミュニケーションの話、まさに今を生きる言葉の話でめちゃくちゃおもしろい。
個人的にはラッパーのMummy-Dさんと言語学者の川原繁人教授との鼎談をまとめた「気分のアガる表現」が一番。韻の話もおもしろいが、五音七音という日本語をリズミカルにする魔法とそれに抗うように言葉を生み出すDさんや詩人・谷川俊太郎!うううむ、なるほどなぁ。谷川さんが再登場する最後の章「言葉は疑うに値する」もいい。というわけで、言葉関係の人はもちろんのこと、「言葉の時代」に生きる皆さんにおすすめの一冊!ぜひ!
◆DATA 俵万智「生きる言葉」(新潮新書)
◯勝手に帯コピー(僕が考えた帯のコピー、引用も)