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U-NEXTのハンドレッド ミニッツ ノヴェラという小説レーベルから出た一冊。約100分夢中で読める中編小説を年4回刊行していくそうだ。ま、100分ではなかなか読めないけどね。
タイトルいいなぁ。冒頭、夫・蹴人の母に結婚後だが初めて会う主人公の波那(はな)。そこに現れたのはぽっちゃりとした体を上下金色のスーツで包んだ義母・張子。ものまね教室の帰りだというこの全身ゴールドの50代の女性が会った瞬間から40歳の波那を翻弄し、彼女の人生に大きな影響を与えていく。生真面目な夫が「生来母親と合わない」という張子の奔放さ、自由さ。波那とは波長が合ったのか「マブになろうぜ」と宣言し、美容整形に行ったり、韓国料理屋に行ったり、蹴人の元友人エンゾも一緒に韓国弾丸旅行までしちゃう。波那、張子と呼び合いタメ口でやり合う2人がその時々に話す話がどれもなかなかディープで心をえぐる。このあたり金原ひとみの真骨頂!
韓国旅行の食やタトゥーの話はリアルで楽しいが、そこで語られる張子の過去!まさにパワハラセクハラ横行の社会人時代や夫の不倫を我慢して生き続けた結婚生活。ようやく夫から解放され自らの力で生きている、だからこその自由さ。この発言にインスパイアーされたかのように語られる波那のモラハラ男との性奴隷のようにモノ扱いされた日々!だからこそ彼女は蹴人との出会いに感謝し、張子との怒涛の日々を楽しんでいる。金原ひとみの出会いの物語といえば映画が公開された「ミーツ・ザ・ワールド」を想起するが、これはベクトルは同じでも出力がちょっと違う出会いと繋がりの物語。ぜひ!◆DATA 金原ひとみ「マザーアウトロウ」(U-NEXT)
◯勝手に帯コピー(僕が考えた帯のコピー、引用も)