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【書評】椎名誠「そらをみてますないてます」-青春の物語×冒険の物語、まさに、構成の妙!

そらをみてますないてます そらをみてますないてます
椎名 誠

文藝春秋 2011-10
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 椎名誠の本は小説でもエッセイでも裏切られることはまずない。冒険家的な一面や写真家、映画監督など幅広く活躍しているため、メインストリームにいる人とは言えないが、彼は時代を代表する作家の一人だと僕は思っている。

 

 さて、新作の「そらをみてますないてます」。これは非常に意欲的な作品で、おそらく今年のマイベストに顔を出すであろう傑作だ。何と言っても構成が素晴らしい。6つの章からなるこの物語、各章が異なる2つの話でできている。ひとつは19歳から22歳ぐらいまでの青春の物語。もうひとつはタクラマカン砂漠をはじめとする冒険の物語。1章の中でこの2つが何度か交互に語られる作りだ。しかも、この冒険譚は1988年から始まって過去へとさかのぼる。最終章に向かうにつれて、青春の物語の時代に近づいて行くのだ。

 

 異質な2つの物語の組み合わせと異なる時間軸の組み合わせ。この構成の妙が自伝的私小説であるこの話をより魅力的なものにしている。

 

 青春の物語は作者が六本木の有名店で皿洗いをしているところから始まる。アルバイトに明け暮れるそんな日々の中で彼はイスズミと名乗る水商売の女と親しくなる。東京五輪が近づいた頃の出来事だ。いくつか変わるアルバイト先の話。イスズミとのちに妻となる海という女性との話が物語の中心になる。海との初々しい出会い、そして、思いがけないその後の展開、第五章の「ダッタン人ふうの別れの挨拶」が強く心を打つ。そして、最終章。パタゴニアの旅。この旅には常に海の姿がオーバーラップする。空港でのラストが何ともたまらない。

 

○この本は2014年5月、文春文庫で文庫化されました

 2011.11.15さて、サッカー北朝鮮戦、どうなるかな?母が化膿性脊椎炎で入院することに。86歳なのでいろいろと心配。

 

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