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【映像化】映画「この世界の片隅に」感想!-日常こそが大切で日常こそが「生」であることをこの映画は教えてくれる

■映像化

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 21日に東京・テアトル新宿で「この映画の片隅に」を観ました。平日の1時過ぎの回でしたがほぼ満員。次の回も多くの人がお待ちでした。え〜っと…諸般の事情、というかのんさん関連なのでしょうが、大マスコミで取り上げられることが少ない映画ですが、観た人々のネットでの後押しもあって大ヒットしています。感想を書いたので読んでみてください。

 

 傑作であることは観る前から分かっていた。こうの史代の原作がとにかく素晴らしかったのだ。あの原作を片渕監督が駄作アニメにするわけがない。最初からグイグイと画面に引き込まれる。原作はモノクロームだ。アニメには色がついている。しかも、柔らかくて優しい。まず、このトーンがいい。そして、最初のエピソード!主人公すずと後に夫になる周作との出会いのシーン。この映画にはちょっとシュール(古い!)なシーンも時々登場するがこの場面もそう。リアルではない表現が物語に奥行きを与えている。


 昭和8年の広島市、そしてすずの嫁ぎ先、呉に舞台は移っていく。世の中はすでにきな臭く、その後、日中戦争が始まり、第2次世界大戦が起こる。「この世界の片隅に」の背後には常に戦争がある。しかし、ここで描かれているのはすずが暮らす呉の家の日常だ。今ならば「天然」と言われるだろうボケボケの奥さん北條すず。畑仕事に戸惑い、毎日の食事を工夫し、服を繕い、義姉にイヤミを言われる、泣いたり笑ったりの日々。


 戦争の中にも日常はある。それは本土が空襲にあっても変わることはない。日常こそが大切で日常こそが「生」であることをこの映画は教えてくれる。だからこそ、身近な人が戦地で亡くなり、目の前で身近な人を亡くし、自らが傷ついてしまう戦争という非日常が許せないのだ。日常に非日常が食い込んでくることの恐ろしさ!!泣き笑いの日々が愛おしい。


 観終わってもいろいろな場面を思い出す。すずのおさななじみ水原との呉でのエピソード、遊郭で働く白木リンとすずとの会話、広島の町、川べりに建つ産業奨励館(現・原爆ドーム)の勇姿、呉の家から見える港の美しさ、共に絵を描き船を見るすずと義姉の子晴美、橋の上でのすずと周作、原爆投下のあの日の諸々…。すずさんは僕たちにいろいろなことを語りかけている。そして、僕らが生きているのはあの時代から地続きの場所なのだ。

 

 僕は難聴なのでこまかいニュアンスまでは聞き取れないのだがのんさん他声優陣の好演は多くの人々が認めるところだ。戦争中の日常を描いてこれは屈指の名作!常にユーモア、おかしみがあることもこの映画の素晴らしさだ。観ていない人はぜひ!そして、できることならば原作もぜひぜひ!!

 

 まだ地方都市では上映館がないところもあるようですし、日本字幕付きなどバリアフリー上映も回数がまだまだ少ないのが残念です。多くの人が観ることで興行側の対応も変わってくると思います。ちょっとでも心が動いた方は映画を観ていただければと思います。リンク集を作っていますので、こちらも参考に。上映館情報へのリンクもあります。

 


 原作の感想はこちらを。

 

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