また、本の話をしてる

おすすめ本の紹介や書評、新刊案内など、本関連の最新ニュースを中心にお届けします。

【文学賞】第9回山田風太郎賞候補作5作が決まりました!

 過去1年間(毎年9月1日から翌年10月1日までの期間)に出た小説の中でジャンルを問わず最もおもしろいと評価された本に贈られる山田風太郎賞。山田風太郎は大好きだったので毎年注目している賞です。

 

 過去には窪美澄「晴天の迷いクジラ」、佐藤正午「鳩の撃退法」、塩田武士「罪の声」など僕の好きな作品も選ばれていて、なんとなく好感も持っています。選考委員は奥泉光、京極夏彦、筒井康隆、林真理子、夢枕獏となかなか豪華。今年の候補作は以下の5冊です。

 

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【新刊案内】出る本、出た本、気になる新刊!  (2018.10/3週)

 出る本。三崎亜記「30センチの冒険」(10/14)。彼には「となり町戦争」「バスジャック」「失われた町」「鼓笛隊の襲来」など印象的な長編や短編集がある。独自の世界を切り拓いてる感じがして好きだったのだけど、最近は読んでいない。でもこれはちょっと気になるんだなぁ。アマゾンの紹介文、読んでみてください。

 

僕が迷い込んだのは、「大地の秩序」が乱れた世界――
三崎亜記のすべてが詰まった傑作ファンタジー!

故郷に帰るバスに乗ったユーリが迷い込んだのは、
遠近の概念が狂った世界だった。
ここでは、目の前に見えるものがそばにあるとは限らず、
屋外に出ればたちまち道に迷ってしまう。
街の人々に教えられ、ユーリはこの世界のことを少しずつ知っていく。

私生活のすべてを犠牲にして、この世界の道筋を記憶する女性「ネハリ」。
不死の「渡来人」。砂漠の先にある「分断線」。
人間と決別し、野生に戻った本たちと「本を統べる者」。
そして、通り過ぎる街の人々を連れ去っていく「鼓笛隊」。

全滅の危機に瀕した街のために、ユーリは立ち上がる。
この世界にあるはずのない「30センチのものさし」を持って。

 

 どうでしょう?久しぶりに三崎亜記ワールドに触れてみようかな。うむ。

 

◯三崎亜記「となり町戦争」の書評はこちら。これは傑作!

 

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【書評】村田沙耶香「地球星人」-ここまでいっちゃう村田沙耶香という小説家が恐ろしい!

 これ、とんでもないなぁ。とんでもないというのは、すごい小説だということももちろんあるのだけど、なんだかとてつもなくてよく分からないという意味合いも含んでいる。冒頭から驚かされる。第1章は長野の田舎の集落が舞台。主人公奈月の祖父母の家に親戚たちが集まってくる。お盆の恒例の集まりだ。奈月といとこの由字は宇宙人だとかヘンなことを口走っているが、時代的には「現代」の話のように思われる。

 

 ところが次章の冒頭は「私は、人間を作る工場の中で暮らしている。私が住む街にはぎっしりと人間の巣が並んでいる」というフレーズがあり、かなり混乱する。少し未来の話なのだろうか。読み進めていけばこれがどういうことなのかは分かってくるのだが、この辺りの構成が村田沙耶香は巧みだ。しかも、魔法少女だとかポハピピンポボピア星だとか彼女の表現は尋常ではない。この人だけの世界が確実にある。読む側はグイグイと村田沙耶香ワールドに引き込まれていくのだ。

 

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【新刊案内】出る本、出た本、気になる新刊!  (2018.10/2週)

 今週は出る本2冊。どちらも非常に気になります。1冊目は「雪の鉄樹」「オブリヴィアン」で大注目の遠田潤子の新作長編「ドライブインまほろば」(10/11)。遠田ワールドの古めかしさはけっして好きではないのだけど、なんだかグイグイと引き込まれちゃうんだよなぁ。ま、ま、これもまた読むしかないでしょ!

 

◯遠田潤子、他の小説の書評はこちら

 

 もう1冊は「脚本家 坂元裕二」(10/11)!まずはアマゾンの内容紹介を引用してみます。

 

『東京ラブストーリー』『わたしたちの教科書』『Mother』『それでも、生きてゆく』『最高の離婚』『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』『カルテット』『anone』など、 恋愛ストーリーからシリアスなドラマまで、何気ない会話の中に物事の本質を丁寧に描き、観る者の心を捉えて離さない脚本家・坂元裕二。 そんな彼が初めて語る半生と全作品解説を始め、坂元作品の豪華出演者による豪華対談&インタビュー、『カルテット』の主題歌を作詞作曲した椎名林檎との往復書簡など、 1ページも見逃せない至極の1冊となっている。本邦初公開となるドラマの企画段階の資料や、第1回フジテレビヤングシナリオ大賞受賞作品なども収録。

 

 ということで、ということで、ドラマファンでこれを買わない人がいるのだろうか。僕は買います。すごく楽しみ!対談相手は満島ひかり、瑛太、有村架純、宮藤官九郎らしいです。

 

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【絵本】第9回リブロ絵本大賞は苅田澄子/ 中川学「だいぶつさまのうんどうかい」に決定!

 リブロ絵本大賞はリブロ・よむよむ・パルコブックセンターの児童書担当者が選ぶ「最もおすすめしたい絵本」。2017年8月から2018年7月までに刊行された絵本の中から選ばれています。

 

 第9回の今年は苅田澄子さん文、中川学さん絵の「だいぶつさまのうんどうかい」が大賞に選ばれました。パチパチパチパチ!これは弥勒菩薩だとか阿弥陀如来だとかいろいろな仏様たちが運動会に参加し、ついに大仏様まで、という話らしい。ううむ。大仏様大きすぎ!中川さんの絵、好きだな。ちょっと読んでみよう。

 

 入賞作は以下の9点。ヨシタケさんのは読んでいます。目の見えない世界に挑戦しているスゴい本。この中で個人的に興味を持ったのは、ガリア・バーンスタインの「サイモンは、ねこである」とマック・バーネットの「サンカクさん」。どちらも外国の作家。読んでみようかな。

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【ドラマ】2018秋ドラマは何を観る?おすすめはこれっ!

 夏ドラマはけっこう充実していましたが、秋もなかなかですよ。連続ドラマの前にNHKの朝ドラのことを。1日から始まった安藤サクラ主演の「まんぷく」。日清食品の創業者夫婦をモデルにした物語です。安藤サクラ主演、というだけで嬉しい!さらに、夫役が長谷川博巳というのも個人的には盛り上がります。共演が内田有紀、松下奈緒、桐谷健太、松坂慶子などなど。いいんじゃないでしょうか。

 

 

 

さて連ドラ。絶対観たいのは3つ。

 

◯日テレ系水曜10時「獣になれない私たち」10/10~


 すでに話題ですね。「逃げ恥」の脚本家野木亜紀子とガッキーコンビのラブストーリー。略称「けもなれ」!野木さんによると「恋愛ドラマが苦手な人にこそ見てほしい作品」だそうです。松田龍平、黒木華、田中圭、田中美佐子他。これは絶対観るでしょ!

 

◯TBS系日曜9時「下町ロケット」10/14~

 

  阿部寛、吉川晃司、立川談春他、前作のキャストがほぼ出るそうなのでこれはもう決定!原作は7月に出た「下町ロケット ゴースト」です。

 

◯NHK金曜10時「昭和元禄落語心中」10/12~

 

 これは原作のコミックが傑作なんです。岡田将生主演。竜星涼、成海璃子、大政絢、山崎育三郎他。連続10回。落語ものは役者が大変。岡田将生が主役をどう演じるか?いろいろな要素が入った物語なのでとても楽しみです。

 

ま、観るんじゃないかしらんは2つ。

 

◯フジテレビ系火曜9時「僕らは奇跡でできている」10/9~


 高橋一生主演、生き物の不思議にこだわる大学教授の話。榮倉奈々、要潤、小林薫他。高橋一生、脇役の頃から気に入っていたので民放ゴールデンでの初主演はうれしい。脚本の橋部敦子は草彅くん主演の「僕の生きる道」シリーズを書いている人。注目です。

 

◯テレ朝系木曜9時「リーガルV~元弁護士・小鳥遊翔子」10/11~

 

   米倉涼子の新キャラが気になります。苗字の「小鳥遊」は「たかなし」って読むんですね。鷹がいないから小鳥が遊べるのね、なるほど。高橋英樹、向井理、林遣都、菜々緒他。何だか強烈なキャラのようなので楽しみ!

 

 これでもう5本ですからね。この辺りでいい気もするのだけど、話題作はまだまだありますよ。

 

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【新刊案内】出る本、出た本、気になる新刊!  (2018.10/1週)

 さて、出た本。朝井まかて「眩(くらら) 」が文庫になりました。葛飾北斎の娘である応為(おうい)の物語。宮崎あおいが主役を演じたNHKのドラマも好評でした。未読の人はぜひ!僕の書評も読んでみてください。

 

 

 出る本。片岡義男「あとがき」(10/3)出ます。タイトル通り、片岡さんの本のあとがきを集めた一冊。片岡義男ってあとがきがなかなかおもしろいんだよなぁ。150点も収録されてるのか!これは好企画!晶文社から。

 

 そして、村田沙耶香のエッセイ集「となりの脳世界」(10/3)も出ます。「地球星人」を読んじゃった私としてはクレイジー沙耶香の頭の中を知りたいわぁ。読もう!

 

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