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【落語/書評】中野翠「今夜も落語で眠りたい」-この新書の紹介CDをぜ〜んぶ聴きたい!

志ん生と馬生・志ん朝の親子、桂文楽への偏愛ぶりがうれしい。

 

 落語にだって批評家とか専門家とか、いろいろいるが、この本がいいのは中野翠という単なる落語好き、落語ファンが書いた紹介本だということだ。寄席などライブの話も当然出てくるが、ほとんどが夜な夜な著者がCDで聴いた噺のことである。紹介されたCDはなんと47枚、志ん朝の「文七元結」(傑作!)を聴いて落語に目覚めた人らしく、志ん生と馬生・志ん朝の親子、そして桂文楽への偏愛ぶりがなんともうれしい。ただの落語好きなのだから、別に幅広く聴かなくたっていい。知ったかぶりなぞしなくていい。こっちはこっちで、お~とか、へ~とか、え~っ?とか適当なこと言いながら、この一冊を楽しんでいるのだ。

 

 といっても、辣腕コラムニスト中野翠のこと。素人の感想文とはわけが違う。読んでるうちに紹介されたCDをやたらと聴きたくなって困ってしまう。文楽の「よかちょろ」なんて今すぐ聴きたい!もちろん、鋭いことも言う。「人間には「心の闇」がある。当り前のことじゃあないか。何だかわからないけど面白いもんだね……。落語はただそれだけでいいのだ。「心の闇」だの何だのを突き詰めて考えるのではなく、味わう。みつめるのではなく眺める(中略)それが落語の「大きさ」というものだと思う」。う~む、スゴいね、この人。みつめるのではなく眺める、のよね。う~む。というわけで、落語CDを探すのにもいいし(偏愛だけど)、落語ワールドにちょっと触れてみるのにも最適。あとは、翠お姉さんにすべてまかせりゃいいんです。

 

               ◯ ◯

 

2010.8.5 「桐島、部活やめるってよ」読了。うん、これは高評価!この後、小林信彦のエッセイを読み終えたら「はやぶさの大冒険」に突入の予定。

 

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